小説8「秘密」 | 羽生結弦選手が素敵すぎて困っている人のブログ。はいぱぁ

羽生結弦選手が素敵すぎて困っている人のブログ。はいぱぁ

羽生結弦選手が素敵すぎて
こんなブログを書いています。

前ブログでオイタしてもーて
お引っ越し♡

よろしくお願いいたします。






家に帰って端末をいじっていると

先輩からメールが入っていた


>明日時間ある?
会いたい


ストレートな文面に
クスっと笑う



>うん
練習する前
夜12時くらいなら



>ok
明日行く



今日は忙しかった
コーチ
学校
地元の諸用


あっという間に夜になる



>今ついた




メールは十分前
窓の外を見る




車が止まっている


「先輩来てるから直接リンク行くね」



母に告げて

家を出る




「ひさしぶり」


「ウン」






車に乗って

安心感


クラシックの鳴る車内


大好きな曲




ふいに




涙が



頬を伝う





車が止まる





震える肩を

大きな手が


つかむ




潤む目を


捕らえる



「なんかあった…?」




優しい声


思わず


添えられた手をつかむ



「ウウン…」



ただ


今は


この優しい手に


肩をつかんで
いてもらいたい



「…少しだけ
こうしていて…」




先輩は


なにも言わずに


ずっと


そうしていてくれた













「落ち着いた…?」



ひとしきり



泣いた後



下からのぞきこまれる



優しい笑顔に


クスっと笑う



「ゴメン」





なんだか急に恥ずかしくて



その美しい白い
両手で目を擦り



えへへと笑う


「もうすぐ試合なんだよね?」





肩に置かれた手はそのままで




「うん
お守り
欲しいな」





「お守り?」








不思議に思って


運転席を


見ると







「…んっ…」




抱きすくめられ







優しいキス







暖かで


柔らかな


とろけるような


体の奥がジンとする







耳たぶを甘噛される


「…あ」






はああ…と




熱い息







この腕


前にも


抱き締められた


ことがある






「お守り    もらった」








濡れた唇を

親指で拭いてくれる








「練習、行く?」






ハンドルを片手に





つかまれた


肩が

熱い








「今日は 
…行かない」





「…ホテルの部屋、来る?」




うなずきもせず



黙っている




伏せたまぶた
長いまつげが瞬いている






先輩は


車を発進させた






ホテルに着くと



急に

顔がこわばる




じっとして

動かない彼




「…帰る?」




こくんと


うなづく






「…もう一度、キスしてくれたらね」







きゅっと唇を結ぶ



先輩は
ふっと笑って



今来た道を



引き返した







「ここでいいの?」




いつもの場所



「…きょうは」




なんて言っていいかわからない



ありがとう…?


忘れて…?




「おとなげない事しちゃったな」



「え」



「弱みにつけこんだ」




ふふっと笑って
彼の頬を片手で包む



「あの時から
ずっと見てた」




四年前のあの時




力強い腕が
抱き留めてくれた
あの時




彼だって
忘れたことはなかった




涙が出るほど安心した



ずっと


怖いとき



泣きそうなとき



この力強い
腕を



無意識に思い出していた



でも


今は





「好きな人、いるんだろ?」







乾いたはずの

涙が



ころんと頬を転がる




「苦しい、恋なのか…?」




囁くような
先輩の声



甘えたくなる
自分を呪わしく思う





「わからない
どうしたいのか

わからないんだ…」





先輩にはもうない
純粋な恋心をもて余して

眉を寄せ
細く白い指で
下唇を嬲り

苦悩する彼は


とても


美しかった







「いつか
答えは出る
それまで悩めばいい

相談には…乗らないよ?」





「え」




「またこんなことされたら
困るだろ?」



柔らかい彼の頬を
優しくつまむ





やっと笑顔になった彼




少し腫れぼったくなった
赤いまぶた
目尻

白い歯が眩しかった



「やっぱり
きょうは
ありがとう」


そう言って
車を降りた彼



素晴らしく目を引く
後ろ姿を
見守る



「…さよなら」




自分の思いに決別した
深夜二時だった







彼の唇の感触を




抱いて






















初出:前編2015年02月12日


後編:2015年02月14日



抱っこが

非常に印象が強く

つい

登場させてしまった
先輩

これから
昼に夜に

活躍してくださいました

実は私はそこまで先輩派だった
わけではありません

どっちかというと
クラブメイト派でした

Pちゃんの影響が
強かったのです