こんにちは。本の森にも春が来ました
先日も、まだまだ背が低いのに咲き出しちゃった気の早いチューリップを見つけて、春の訪れを感じました
今日の一冊は、平安寿子さんの『こんなわたしで、ごめんなさい』(実業之日本社)です。
こちらは7人の女性がそれぞれ主人公の短編小説になっています。
婚活中の成美、巨乳の東子、堅物の泉、二股される未和、ブスを自覚する洋子、ロリータおばさん道子、媚びる女早弓。
7人全員が、それぞれのパーソナリティによって、周囲と対立したり、嫌われたりしながら、しぶとくたくましく生きていく、そんなストーリーです。
女性なら、「あー、こんな奴いるいる」と思える人が多いんじゃないでしょうか。もしくは、「あれ、これ、私のこと?」と冷や汗が出る人もいるかも。。。
私が一番共感したのは、ブスを自覚する洋子です(笑)そこでここでは、洋子のお話をすこしご紹介しますね。以下ネタバレ含みます。
洋子は「顎が張ったホームベース型の輪郭に、小さな目とあぐらをかいた鼻と大きな口が散らばった渥美清似」で、「幼少期ですでにブスを自覚し、運命を受け入れる胆力を鍛えた」人物です。ユーモアを感じる人物描写ですよね(笑)
細かいパーツは違えど、私も年中さんの頃には、自分がさほどイケてないことは自覚しておりましたなので、「ブスは賢く強くならなければ、いきていけない」と、「わかりやすく活発でハキハキと受け答えするのが最も大人受けすると発見し、顔ではなく態度で評価される存在になった」という洋子の気持ちがよーくわかりました。。。
「十歳で悟りの境地」へ至った洋子。そんな洋子と美人な親友との不思議な関係がユーモラスに綴られた物語です。
私自身、自分なりの美男美女観があり、自分がそうでないからこそ、巷の美男美女を観察しては分析することがあります。そして洋子と同じく思うのは、「せっかく美しい容姿に生まれたのだから、武器にしないともったいない!」ということです。
実際、それを武器に恋愛も就職も見事に決めている人がいる一方で、案外本物の美男美女は、自分のことに無頓着で、容姿なんてどーでもいいとばかりに過ごしておられる方もちらほらいらっしゃいます。不美人からしたら、実にもったいない!否、実に羨ましい!!
こっちは着飾って整えてやっと人並みなのに、本物の美人ったら、ほとんどすっぴん、髪はさっと朝ブラッシングしただけ、毎日同じようなジーパンとTシャツでもサマになっているんですもの
話が逸れました
このように、7人の女性たちに共感して読むもよし、なんか友だちに似てるとニヤニヤしながら読むもよし、の、人間ウォッチングをしている気分になれる愉快な一冊です。本棚で見つけたら、手に取ってみてはいかがでしょうか