ももの窓から見た宇宙
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 年末の夜にうちに遊びに来た人が、帰る時に不審者に間違えられてアパートの住人に通報され、警察が来るということがあった。

 

 わたしは事情を説明するために寒い中ダウンを着こんで外に出たのだが、空を見て驚いた。

 

 思いがけず星がたくさん見えたのだ。

 

 「えっ、何これ。夜中ってこんなに星が見えるの?」

 

 警察と不審者扱いされた彼と通報したアパートの住人が話しているのを横目にわたしは「星が、星が」とひとりはしゃいだ。

 

 考えてみれば冬は空気が澄んでいて、夜の1時~2時ともなれば建物の明かりが少なくなり空が暗くなるから星がよく見えるのだろう。

 

 今まで夜遅く空を見ることがあまりなかったので気が付かなったのだが、どうして気が付かなかったのかと悔やまれた。

 

 警察をまじえた話し合いで彼が不審者ではないことが証明できたため、わたしは部屋に戻り電気を消して窓の外を見た。

 

 やはり暗い夜空に星が輝いていたのですごくワクワクした。

 

 それ以来、雲が少ない夜は電気を真っ暗にして星を見ることが楽しみになった。

 

「プレアデス、わたしここだよ」

「シリウス、わたしここにいるよ」
「オリオン、今日も見てるよ」

 

 星は瞬いて返事をしてくれているように見える。

 星がそんなふうに返事をすることを子供の頃は知っていたがもう忘れていた。

 

 夜中に警察が事情聴取に来た、という一見不穏な出来事が宇宙につながったのは何だか偶然とも思えなくて面白い。