待ち合わせに指定された駅前

 

お互い名前だけは知っていた

 

私はトヨタカローラEDワインレッドの愛車

 

あなたは 400のバイク

 

多分、あの人かな?迷う事無く 直ぐに見つける事ができた

 

車に近づいて来る男性 

 

エエッ!!!!!

 

私の予想に反して全くの逆じゃん 予想は 禿げで小太りの中年

 

年上の子持ち女 だましたら あかんよ!!!

 

確か、年齢は私よりも上と言ってたよね 嘘だったんだ

 

真正直に自分の年齢を話した事 のこのこ会いに来た事

 

全ての行動を心の底から後悔した

 

あぁ・・・そうか、私は若い男の子の退屈しのぎに相手にされてたんだ

 

なんなら1回や2回位はHできるか?と思われてたんだ

 

この場から逃げよう 急いで帰ろう 

 

こんな時に限って信号は赤だし車列は繋がってる 焦る

 

時すでに遅し トントントン ノックの後 助手席に乗り込んだあなた

 

しまった!!!! ロックをし忘れた!!!

 

“こんばんは やっと会えたね ごめんね こっちまで来てもらって”と

 

声と口調は今までの10日間そのままだった

 

次にあなたが言った言葉

 

“ここでもう少し待ってて貰える?”と言ってまた駅前に戻った

 

何? 何? 何?

 

え~~~仲間連れて来るの??? 今度こそ逃げなきゃ!!

 

でもフト見た助手席にはカバン置いてるよあの人 待つしかないか・・・

 

 

 

少しして戻って来たあなたは 

 

さぁ 何処へ行きますか???の問いかけに 言葉が出ない私

 

貴女は珈琲派ですか?紅茶派ですか?

 

辛うじて答えたのは 紅茶派です・・・

 

だったら、美味しいアールグレーを出してくれるお店があるから行きましょう!

 

案内しますね と言われ 国道沿いを10分程走ったら

 

とっても素敵な雰囲気のお店 グランドピアノの生演奏もある大きなお店

 

この先 私達が通い詰める事になるこのお店のアールグレーは美味しかった

 

 

 

緊張してますか?電話の時の様にお喋りしてくださいよ

 

彼のその言葉をきっかけに 私は彼に抱いた疑問をぶつけた

 

年齢を誤魔化している事 今も仲間がどこかにいるのではないか?

 

彼は ゆっくりといつもの口調でそれでいて笑いながら

 

かばんから免許証を取り出して見せてくれた

 

あ~~若く見えるんですね(笑)   

 

いつもそう言われますが この歳です

 

一旦 挨拶をした後に駅前に戻った理由は

 

小雨が降り出したので バイクを屋根付き駐輪場へ移動させたんですよ

 

でも、その間に私が居なくなるのが不安だったので助手席にかばんを置いたと

 

え??そんな事信用したらダメじゃん 

 

私が悪い奴だったらカバンごと持ち逃げするよ と言った私に

 

貴女はそんな事しないと思いました

 

この10日間でたくさんの話をしました 僕はその中で貴女を信頼しました

 

信頼って年月の永さではないと思いますよ

 

10年経っても分かり合えない人も居るし その逆も然り

 

その後、彼は今とても後悔していると言い出した

 

私の疑惑を完全に払拭するために必要な書類を職場から持ってくるのを忘れた

 

次に会った時には見せるからね・・・

 

 

何の事だろう????

 

2杯目のアールグレーを飲み干して帰路についた

 

 

 

 

後日談

小雨だった雨が話し込んでいる間に土砂降りになっていたらしい

雨の日にバイクを乗らない彼は

本音では私の車で家まで送って欲しかったらしい

だけど、この大雨の中 下りカーブ連続の私を案じて

終電も無い もちろんバスも無い中

駅前から徒歩で40分掛けて

ずぶ濡れで帰宅したそうです