『警報、警報、第一ブロックを通過されました。研究員は至急、防護体制に移って下さい。…』
けたたましく鳴るサイレンの音。
飛び交う怒号。
それらの音が混ざり合い、研究施設は騒然としていた。

「目標は、第二ブロックを侵攻中。この速さだと、この中枢部まで来るのに5分もかからないと思われます…!」
「くっ…。たった一人でこんなにも速く…。自衛班は何をしている!!」
怒りをあらわにする男が必死の形相で見ている大画面には、その研究施設の全体像が映し出されていた。
研究施設は丸い形をしていて、外側からそれぞれ、第一ブロックから第4ブロックまで区切られている。
そこには、赤い点として表されている「目標」の姿があった。その点は、ブロックを区切っている鉄製の分厚い壁をものともせず、どんどん中央に迫って来ていた。

ー研究施設、廊下ー
『目標はこちらに接近中。落ち着いて行動しろ。』
「了解。」
研究施設に雇われている護衛隊は緊張状態に陥っていた。
(本当にこんなところまで来た奴がいるのか…。他の護衛隊員はどうしたんだ?)
隊員の一人が、考えを巡らせる。
(この建物自体もそう簡単に壊せる代物じゃないはずだ。それをたった一人で突破して来たとは考えにくい…。)
『来たぞ!構えろ!』
通信機から聞こえる号令に合わせて持っている武器を構えた。

(ここで絶対に仕留めてやる…。これ以上前に進ませるわけにはいかない…!)
『3、2、1…かかれ!』
護衛隊員が一斉に目標の目の前に立ちはだかる。
隊員の一人が思わず口に出して言った。
「……子供…?」

                              To be continue....