マムガイドでは現在、1,800種類以上の成分を注意成分として指定しています。今回はその中でも、マムガイド「乳幼児・妊婦の方向けの注意成分」の核心となる5つの成分のひとつ、SLS/SLESの有害性についてまとめました。

SLS/SLESは、以前の界面活性剤コンテンツで刺激性および発がん性の界面活性剤として注意成分リストに含まれていましたが、なぜ注意成分なのでしょうか？

ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)とは？

SLSは代表的な刺激性界面活性剤です。ラウリル硫酸のナトリウム塩であり、界面活性剤の親水基がマイナスに帯電しているアニオン（陰イオン）界面活性剤に分類されます。安価で洗浄力に優れているため、洗剤、シャンプー、歯磨き粉など、様々な製品に幅広く使用されています。

SLSはなぜ注意成分なのでしょうか？

① 皮膚への刺激性

SLSは、実際に多くの皮膚刺激性試験で陽性対照（ポジティブコントロール）として使用されている成分です。

上のAの写真は、マウスに20%のSLSを72時間塗布した結果、深刻な紅斑や浮腫といった皮膚反応が現れたものです。

上記の研究では、1%のSLSを48時間ヒトの皮膚に塗布した結果です。写真に見られる健常な皮膚(a)と乾癬患者の皮膚(b)の両方で、反応性の発疹が確認されました。

② 配合上限なし

製品では実験よりも低い濃度で使用されることが多く、また洗い流すタイプの製品に含まれるため、実際にはここまで深刻な症状が出にくいとされています。

しかし、化粧品への配合上限が定められていない成分であり、最大配合量が不明なため注意が必要です。

特に敏感肌の方の場合、洗剤や洗浄剤の使用後にすすぎが不十分だと、赤み・乾燥・かゆみ・痛みといった反応がでることがあります。

このため、マムガイドでは「乳幼児・妊婦の方向けの注意成分」として指定しています。

ラウレス硫酸ナトリウム(SLES)とは？

SLSと似た構造を持つSLESも同様に、マイナスに帯電したアニオン（陰イオン）界面活性剤です。黄色い四角で囲まれた部分を見ると、SLSとは異なり、エトキシ化反応によってエトキシ基が結合していることがわかります。SLESはSLSに比べて刺激が比較的少ないとされています。主に石鹸やシャンプーなど、洗い流す製品に使用されています。

SLESはなぜ注意成分なのでしょうか？

① 皮膚への刺激性

SLSよりは刺激が低いとされていますが、皮膚刺激を引き起こす可能性があることが確認されています。

欧州化学機関(ECHA)によると、SLESを適用した際に皮膚の過敏反応が現れたというデータがあります。

② 発がん性物質残留の可能性

SLESの合成過程で行われるエトキシ化反応とは、エチレンオキシド(E.O)という発がん性物質を利用する合成反応であり、その過程でE.O分子同士が結合し、1,4-ジオキサンという発がん性物質が生成される可能性があります。

大韓化粧品協会も、この成分に1,4-ジオキサンが残留する可能性があるとしています。マムガイドの基準では、乳幼児・妊婦さんは注意が必要な成分となります。

SLS/SLESは使用してはいけないのでしょうか？

大韓化粧品協会、米国化粧品原料検討委員会(CIR)によると、刺激が起きにくいよう設計された適切な濃度で、正しい使用方法を守れば両成分ともに安全とされています。

ただし、敏感肌の大人や、肌のバリア機能が弱いお子様は注意するに越したことはありません。

ちなみに、大韓化粧品協会はSLS/SLESの安全性を説明する際に、アンモニウムラウリル硫酸とアンモニウムラウレス硫酸についても言及しています。その理由を見ていきましょう！

SLS/SLESの類似成分！

① ラウリル硫酸アンモニウム/ラウレス硫酸アンモニウム

上記で示したSLS/SLESの構造と非常に類似しています。ナトリウム(Na⁺)の代わりにアンモニウム(NH₄⁺)が界面活性剤の親水基と結合している点が異なるのみで界面活性剤として機能する部分は「ラウリル/ラウレス硫酸」構造のままです。SLS/SLESと同様に注意が必要です。

② ココ硫酸ナトリウム

「ココナッツ由来の界面活性剤」として宣伝されているこの成分は、ココナッツ脂肪酸を利用して合成されます。ココ硫酸ナトリウムとは、様々なココナッツ脂肪酸硫酸のナトリウム塩だとお考えください。

ココナッツ脂肪酸の約50%はラウリン酸であるため、ココ硫酸ナトリウムにはラウリル硫酸ナトリウムが半分程度含まれる可能性があります。

Reference

AK Dubey et al, Insight into the Beneficial Role of Lactiplantibacillus plantarum Supernatant Against Bacterial Infections, Oxidative Stress, and Wound Healing in A549 Cells and BALB/c Mice, Front Pharmacol. (2021)
JB Travers, Epidermal HLA-DR and the enhancement of cutaneous reactivity to superantigenic toxins in psoriasis, J Clin Invest (1999)
Kapila Seneviratne et al, Coconut Oil: Chemistry and Nutrition (2016)

マムガイドから一言

マムガイドがSLS/SLESを「乳幼児・妊婦の方向けの注意成分」に指定した理由をまとめました。このように、有害性が指摘されている注意成分を含む製品を、マムガイドでは推薦しておりません。

注意成分を含まない安全なベビー用化粧品は、マムガイドのウェブで簡単に見つけることができますよ！

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