「話したいことがある」と
なんとなく、見当はついていたけど、聞くのが本当に怖かった。
でも、ちゃんと彼女と向き合わないといけないと
自分を奮い立たせて、当日を迎えました。
久しぶりに私の前に現れた彼女は緊張しているのが見ても分かるくらいでした。
話の内容はわんちゃんたちの所有権について
ああ、やっぱりという思いで
簡単にいうと、生体代(こうゆう書き方、好きではないけど…)のほとんどは私が出したので
飼育しているのは彼女でも、所有権は私にあるので
やっと生体代を出せるだけの貯金ができたから、所有権を譲ってほしいとのこと。
正直、わんちゃんたちに対して、複雑な気持ちでいました。
初めて飼ったわんちゃんたち、それも大好きな人と一緒に飼い始めたわんちゃん。
大好きで大好きで、今も思い出すと涙がこぼれてきます。
でも、彼女の話を聞いて、
私の愛情はちゃんとわんちゃんたちに注げていないと感じられていたみたいで。
もう、ここは私しか見てないから書いてしまうけど
彼女と別れる数ヶ月前から、ある病を患いました。
それは自律神経失調症。
吐き気を伴う頭痛が主な症状だったけど
理由もなく焦燥感を覚えたり、イライラしたり、目眩を伴う微熱が続いたり
寝付きが悪く、布団に入ってから何時間も眠りにつけなかったり
とにかくありとあらゆるところに症状が現れました。
最初はきっとストレスがたまってるだけなんだろうなと思ってたんだけど、
もっと激務の時期もあったのに、こんなに体に出るのはおかしいと思って
思い切って受診しました。そこで言われたのが、この病。
正直、すごくショックでした。
ただ疲れがたまってるだけ、ストレスがたまってるだけ、
そんなの自分の気の持ちようだと思ってたから。
それが病気だったなんて
病名をつけられてしまったことに対して、すごく落ち込みました。
病気を自覚した後は苦悩の毎日でした。
何度も何度も辞職を考えました。こんな状態で仕事は続けられない…と
それでも毎日の仕事はやってくる。
1日1日を闘って、闘って、何とか乗り越えて、
それでも寝てしまったら、また新しい日が始まる。
それが苦痛でしかありませんでした。
それを誰にも相談できませんでした。
10年以上付き合いのある友人にも、家族にも、
もちろん、彼女にも…
自分が罹っていることを肯定できないから
むしろ病気を隠そうと必死でした。
そんな状態でうまく行くわけもなく、
彼女と別れて、どうしようも涙がこぼれてしょうがなかったけど
でも、このままじゃいけないと思って
とにかくこの病気と向き合おうと決心しました。
先生にはまず健康的な生活を意識して、
ストレスと上手に付き合ってと言われたので
運動不足だった生活を見直して、
毎日片道10キロの自転車通勤に切り替えました。
色んな人に会って、楽しく話して、楽しく過ごしました。
好きな料理をもっとしようと思って、
自分の食べたいものを上手につくることに力を注いで
野菜を多めに、バランスよく、美味しく食べることを心がけました。
少しずつだけど、処方される薬にも頼らなくてよくなってきて、
自分に笑顔が戻ってきてることも実感できました。
今はほとんど症状もなく、ほぼ完治したと感じてるので
通院する必要もなくなりました。
病気を言い訳にしたくないけれど
あのときの自分はおかしかった。異常だった。
どうしてあんなに周囲に対して余裕がなかったんだろう。
彼女の注いでくれる愛情を、ワンちゃんたちが与えてくれる安らぎを
どうしてちゃんと受け取れなかったんだろうと。
思い出すと、後悔で、悔しくて、自分が情けなくて、今でも涙が出てくるけど
でも、自分が弱かったんだろうと思う。
弱いのに、自分で自分を追い込んでしまってたんだろう。
結果、それが大切な存在も追い込んでしまったんだろう。
話を元に戻して、彼女とワンちゃんたちの今後について
そんな状態の私を見てきた彼女だったから
話す内容、話し方、ひとつひとつに
「この人にワンちゃんを渡せない」という意思が伝わってきました。
私が何を言ったところで今の彼女には事実が全てだろうなと感じました。
そんな状態で私が引き取りたいと言っても、彼女の不安は決して拭えない。
むしろ、心の傷になって残してしまう
それに環境の変化にワンちゃんたちが耐えられるか。
2匹とも小型犬で、体も丈夫とはいえない。
そんな状態で住む家、家族が変わってしまうワンちゃんたちの負担も考えました。
もちろん、ワンちゃんたちに何かあったら、仕事を持ち帰ってでも家に帰ります。
でも、そんな自分のエゴでワンちゃんたちに負担を与えてしまうと思うと、
どうしても強く引き取りたいと言いだせなかった。
そして私と話している時の彼女の顔がちゃんとお母さんの顔だった。
この子たちを守りたい一心で
きっと私と向き合うのことは、怖かったと思う。
彼女の中の私の印象は、付き合ってる時の患っていた自分で。
でもそんな怖い相手にも必死で言葉をぶつけて、
自分が傷つくかもしれないことを顧みないで、勇気を精一杯振り絞って
そこにワンちゃんたちへの愛情をすごく感じたから、
彼女の愛情と勇気に敬意を払い、
自分が身を引くのが一番だと思って、所有権を彼女に譲ることにしました。
たくさん、たくさん
彼女に言われた言葉が今も刺さっています。
大嫌いだった自分を思い出させられる言葉たち、
その自分の残像が、愛する人が抱く私の印象として深く残っているという事実。
だから最後に、彼女にしばらく連絡は絶たせてほしいとお願いしました。
きっと今の自分が彼女と接していても、ストレスになるだろうなって
だから、そんな私の影から彼女を解放してあげたくて
前に進みたいと言った彼女の邪魔をしたくなくて
何もしないことが彼女の一番ためになるなんて
こんな結果、悲しすぎるけど
それが私の今できる、せめてもの罪滅ぼしで精一杯の愛情表現。
もう、彼女に見返りなんて求めないけど
私がもっともっと成長して、彼女に堂々と顔を向けられるまで
その代わり、ちゃんと自分に自信が持てるようになった時には
ちゃんと彼女にありがとうを伝えたいと思っています。
DVが治らない元カノに囚われていた私を励まして、
私の手を引っ張って救い上げてくれて
たくさん幸せな思い出を私に与えてくれた。
初めて相手の親に恋人として紹介してくれた。
たくさんたくさん、外に連れ出してくれた。
たくさんの愛情を私に注いでくれた。
本当に彼女には感謝しています。
きっと彼女に出会えていなかったから、私はあのままだった。
別れていなかったら、自分を変えようとも、自分と向き合おうとも思わなかった。
今、全てに対してポジティブになれている自分があるのは
彼女が原動力だった。
本当に、ありがとう。
愛しています。
