画像のカードはスパイラル・タロットという商品からの一枚である。1998年の製作だから、この世界でスタンダードというよりはニューカマーの位置づけだろうか。発売当時このⅤ<The Hierophant 法王>のトラディショナルなデッキたちに見受けられるそれとは明らかに違う。斬新なデザインが目を引いた。ばかりか僕の目には、ちょうど同じ年の11月にサッカーファンからは惜しまれつつ引退したラモス瑠偉に似ていると映った。勿論、それはただの偶然なのだが、困った事に一度そう思うとなかなかイメージが元には戻らないもので今でもこの法王は彼に見えてしかたない。
実際のところのスパイラル・デッキは良作である。マルセイユ系、ライダーウェイト系、トート系の三大スタンダードの何処の延長線上にも位置していない。それは、どこからも影響を受けていないという意味では無い。過去の歴史的なデッキから多くを学んだ上で、そこに縛られず自由な発想と表現で描いている。占星術上のサインやカバラに於ける命の樹のパスの位置、あるいはヘブライ文字との照応などカード上に置かれた情報量も多く、それらはストレートに明示されている。これは、90年代当時のデッキの傾向の一つでもある。
しかし、このカードに描かれた人物がキリスト教の「法王」に見えるだろうか?タイトルを隠して質問すれば、十中八九が「怪しげな魔法使い」と答えるのではないだろうか。
そのイマジネーションは間違いでは無い。ではデザインが陳腐なのだろうか。それも正解では無かろう。<法王>と呼ばれるタロットカードがイコールでバチカンに居るカトリックの長を表している訳では無い。もっと暗示的、抽象的な意味に於いての信仰対象あるいは精神的指導者、またはある種のファンタジーを可視化しているのだから。

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