まだ5月だというのに外の陽気は、すでにほぼ夏である。ベランダ菜園の植物達が待ちに待った日光を浴びてスクスク育っている。しかし、同時に虫達も元気に活動期を迎える。毎年この季節は、虫達との戦いが繰り広げられることになる。ハーブや野菜といった食用の品種が大勢を占める為に農薬の類は極力使いたくない。日照時間と作付け面積が限られたベランダでは防虫ネットも使い辛い。毎日、点検して見つけ次第、手作業で取り除く。この地道な作業をするしかないのである。 虫の中にはなかなかに賢い奴らも居て、ヨトウムシなぞは日中は土の中に隠れていて、夜になってから葉を食い荒らす。ある朝、大切に育てたスイスチャードの葉が盛大にかじられていて正露丸程の大きさの糞が葉のアチコチに落とされている。必死に葉の裏や茎の辺りを探しても見つからない。そりゃそうだ。そこには居ない。探すべき場所が違うのだ。どうにかひっ捕らえた奴らは、我が家の葉を食べて大きく育ち体長4Cmぐらいの姿であった。そうそう、ヨトウムシとは夜盗虫と書くのだ。
どうせ自分で栽培して自分で食べるならスーパーや青果店では、あまりお目にかからない品種が面白いと思っている。スイスチャードの他には、コールラビ、スティックセニョール、カーボロネロ、ロメインレタス、ビーツ、ネギニラ(名前こそ聞き覚えのある野菜の組み合わせだが、こやつはネギでもニラでもなく、交配された新種なのだ)などがベランダを所狭しと占拠している。未だ手を染めてはいないが名前の通り青い実を生らせるブルーバナナやカスタードクリームの様な味のするホワイトサポテをいつか育ててみたい。
カードに描かれた男は、敵の留守に野営地に忍び込んでコッソリ武器を奪い取っている。足音を立てぬように細心の注意を払い、追いかけて来る者が居ないか後ろばかリを気にしている。その事を情熱を示す赤いブーツと帽子が表している。しかし、敵にしてみればそんな輩は、とんでもなく卑怯な泥棒である。だが必ずしも男は恥ずべき罪人であるのか?戦う武器を失った敵が降参してくれれば、双方に無益な血を流させる事無く、戦いを収束させた立役者であり、味方にとっては罪人どころかむしろ英雄。どちら側から見るかによって評価は大きく変わる。ただ、どちらにせよ男の仕事には穴が多く不完全なのだ。剣は7本中の5本しか一度に運び出す事が出来ず、敵は後ろでは無く左奥に固まって居る。間もなく発見され大騒動になるだろう。
毎日、気を抜かず野菜達の世話に汗を流すとしよう。

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