『フォワード、特にお前たちは個々の力が本当に弱い。それこそ全国で最弱と言えるかもしれない。だが、ディフェンスだけは全国でも三本の指に入ると言える』
全国出場を果たした祝勝会で、とある有名監督が告げた言葉。
なぜか“全国屈指”という誉め言葉よりも、“最弱”と呼ばれたことの方が誇らしく思えた。
全国大会が開幕。
俺達は二回戦までを難なく突破し、元日の三回戦で優勝候補に引導を渡されようとしていた。
《残り時間五分か……ここで終わるのか》
思い出に浸りかけた時、交代が告げられた。
ロックの後輩が走ってグラウンドを出ていった。
代わりに現れたのは、足を引きずる選手——
《ヨワシだ》
ヨワシは足を引きずりながらも急ぎ足で俺の前に来た。
「ヒロ!! 諦めてんのかぁぁ!!」
喜怒哀楽のすべてが喉でつっかえ、出た言葉はただ一つ。
「行くぞツヨシィィ!!」
試合終了の笛を、俺達の代全員で聞いた。
こんな最期でも、後輩たちは涙を流している。
俺はその後輩と握手を交わし、言った。
『こっから先は来年——お前たちが行って来い』
きっと、あの日の主将と同じ顔をして。
グラウンドに風が吹き、再び誇りが空へと舞い上がる。