劇団☆新感線「蒼の乱」(ネタバレ) | 黄金の追っかけ道★好きなことに情熱を燃やす”いきいきライフ”

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こんにちは、黄金の追っかけ道の木犀ねえさんです。

昨日、劇団☆新感線「蒼の乱」を観てきました。
この作品、2回目の観劇です。

正直、天海祐希さん出演作品としては、
「薔薇とサムライ」の方が断然いい!

黄金の追っかけ道

1回目の観劇は、4月1日。
2回目の観劇は、3週間あけて4月22日です。


東京公演も終盤なので、ネタバレありで感想を。
しかも、辛口です。

「この作品、サイコーだった」という人は、
読むと気分を害するかもしれません。
予めお断りしておきます。

新感線が大好きだから、
好きだからこそ、
書かずにはおれなかったのです。
ご容赦ください。


ただし、残念だったのは、
役者さんどうこうではなくて、
たぶんこれ、脚本の問題。または演出の問題。

3週間あけて2回みて、そう思いました。

いい役者さん使ってるのになー。
残念でならない。

久々に、新感線で残念感を味わいました。
っていうか、
中島かずきさん+いのうえひでのりさんの組み合わせで、
残念に思ったのは、出会って25年超にして初めてかも。



時代の想定は平安末期頃(?)の日本。

京の都で贅沢三昧の公家連中と、
重税にあえぐ一般民衆。
腐敗政治に対抗する地方勢力。

なかでも、都の連中が恐れているのが、
西国の海賊 伊予純友と、東の坂東武者 将門小次郎。
そこに、渡来衆の長 蒼真 と、蝦夷の大王 常世王が絡む。


ざっくりは、そんな構造。


メインになる物語は、

馬鹿正直で”計算”というものが無い小次郎が、
時代の黒幕たち(?)翻弄されながらも、
まっすぐさを貫き通し、
愛するもの(蒼真と坂東の地)を守って死ぬ。

というお話。

並行して、

悪政を正そうと渡来の国で反乱を起こしたものの
反乱後の治世ができず、国を滅ぼした蒼真が、
真っ正直な小次郎と出会い、自分の愛と生き方を貫く。

というお話が絡む。

のだが。

だがしかし。

ここから、ぶっちゃけますよ。

小次郎が小者すぎる。

まさに「小」次郎なのです。

劇中で、”猛々しい剛気が溢れている”と、
小次郎を称する場面があるんですが、
まったくもって、剛気を感じない

ちょっと腕っ節の強い、田舎侍。

ちょいちょい劇中に「志があるかどうかだ」という
セリフが出てくるんですが、
少なくとも小次郎には全く志を感じない。

伊予住友の方が、よっぽど堂々としてて志がある。

後半で、蒼真が、
「この人は坂東の草原を愛しているだけ」と
いうけど、ほんとうにそう。
それだけ。
ただの馬好き、単純男。

捨之介とか、野獣郎とか、スサオウとか、
アテルイとか、五右衛門とかの存在感なし。


例えば、

オープニングシーンで、
小次郎は、他の士官たちと一緒に、
左大臣の屋敷に占いをしにやってきた
蒼真たちをなぶり殺ししてるのです。

途中で、「もういやだ!」と、
蒼真と桔梗だけ助けるんだけど、

おいおい、と。

お前、さっきまで一緒に渡来衆を切っとったやないか。
蒼真と桔梗にも刀向けとったやないか。

そもそも、

真っ正直で坂東平野を愛するモノノフが、
なぜ、出世したいと都に仕官する?

お子さますぎる。

少年のような真っ直ぐなところがいいのよ、
なーんて、思えないぐらい、お子さま。

仮にも隣国で反乱軍のトップを務めた女が、
生涯かけて愛するには、お子さますぎる。

さらには、
蒼真と小次郎は恋に落ちる(らしい)が、
いつ、なぜ、そうなったのかが、
さっぱり分からない。

小次郎は真っ正直で、素直な設定。
それなら、もっと分かりやすく、
そこまで蒼真に惚れるシーンがあってもいいはず。

桔梗に、「わたしか、蒼真かどっち?」と言われて、
選んだだけじゃ、弱いでしょ。

蒼真も蒼真で、いつ惚れた?

民のための国を作るという自分の志を、
継いでくれる相手として、小次郎に掛けることにした、
というなら、分かる。

そう決めた、と読み取れるシーンはあった。
(プロポーズを受けたシーン)

でも、惚れてないよね?

無邪気なところに惚れたかい?

いやいや、小次郎が無邪気さを出してるシーンでは
惚れてなかった。
そんな演技はなかった。

むしろ、
「薔薇とサムライ」のラストシーンで、
出航する五右衛門に
「一緒に行かねぇか」と言われて断るシーン、
あのシーンの天海祐希さんの色っぽかったこと。
ものすごく切なくて、
でも女王としての凛とした姿勢がかっこよくて、
ほんとうにいいシーンだった。

でも。

今回は、惚れてないんだよね~。
意地で守ってるだけというか。

今回の作品では、
小次郎も蒼真も途中で名前を変えるんだよね。

小次郎 → 俵トウタ(どんな字だっけ?)
蒼真 → 将門御膳

名前が変わるとともに、キャラも変わる。
それはいい。

でも、物語としての繋がり(背景)が悪くて、
前提が弱いから、
すんなり入れない。

絵としてはキレイですよ。どのシーンも。

でも、物語に入り込めない。

ひとえに、
小次郎が小者すぎるからだと思う。

小次郎が、有無を言わせない剛気な存在で、
かつ、愛するもの(馬でも大地でも民でも、女でも)に
まっすぐな人だったら。

もっとデッカイ存在だったら、
こりゃあ蒼真が惚れるな、という存在だったら。

あんな小者に、蒼真のような女は惚れない。
と思う。

あー、もう、説得力がなくてほんっと残念だ。

逆にさ、
帳の夜叉丸、海賊・伊予純友、馬の黒馬鬼の
真っ直ぐさ、志の強さが、とてもいいだけに、
ダメっぷりが際立つ。

蒼真の強さだけが目立っちゃうんだなー。

美しいよ。
今回も、天海祐希さんの立ち姿はとても美しい。
戦闘姿もかっこいい(アラバキの剣は重かったようですね)。

そうなんだけど、
惚れてないんだよな、小次郎に。

物語のテンポだけに流されてしまって、
惚れられないまま、最後まで来ちゃった、って感じ。

小次郎がもっとデッカイ漢だったら。

と思ったのでした。

うーん、長すぎる3時間でしたわ。



でね、もしもよ、
わたしが設定を付け加えるとしたら。

オープニングでの渡来衆を殺すシーンには
小次郎は入れない。

何らかの理由で遅れて登場した小次郎が
左大臣邸での惨状に激高して助ける。
そのとき、タンカをきる蒼真と目があい、
お互いに運命を感じる。←ここ最初の山場

なんてシーンを入れるな。

小次郎が仕官した理由は、
母思い(これはセリフにも出てくる)の小次郎が、
将門家の出世を希望するちょっと打算的な母の
強いすすめによって、気が進まないが士官する。

例えば、これだけで。
この2つだけで、ぐっと物語に理由が生まれるのに。

最初が、軽いから、ずーーっと小者で軽い男に
なっちゃうんだもん。


ふぅ。
あー、ここまで書くとスッキリした。

今回のでよく分かったよ。

いい役者がいても、
世界観や物語が弱いと、
人は惹きつけられない。

進撃の巨人でも、
あんまり上手じゃない絵でも(ごめんなさい)、
世界観や物語がしっかりしてたら、
あれだけ人を惹きつけるってこと。

世界観、物語、ここに人は惹きつけられる。

いい勉強になりました。


追伸:

何度もいいますが、役者さんは頑張ってたよ。

松山ケンイチさんも1回めに観たときより、
殺陣はうまくなっていたし、さすがだなって思った。
ただ、いかんせん、設定がね。

そういうことです。

あくまでも、ここに書いた文章は、私見ですので、
わたしの見方が違ってるかもしれません。

ただ、わたしは2回観て、こう感じた、ということです。