文部科学大臣杯西日本大会まで、残り1か月を切った。去年は全国大会出場が見えながら惜しい結果に終わってしまったので、三人で参加できる最後の大会は、何とか良い結果を出して欲しいと願う今日この頃です。

 

突然ですが、

我が家は親が一生懸命になり過ぎて、詰め込み過ぎて、次第に子どもが楽しさを失ってしまう典型的なパターンでした。細かい事は省きますが、頑張っている息子にとても厳しい言葉を発してしまい、自責の念にかられながら朝仕事へ向かう日がいったい何度あったか。

 

結局、自分の見栄やエゴやライバルへの対抗心がそうさせるんだなと、小さな自分を認め、ため息ついて、の繰り返し。

 

誰の為のものなのか。皮肉にも息子が強くなればなるほど、いつの間にか一番大切な根っこの部分が置き去りにされていきました。

 

私の将棋じゃない。息子の、大好きな将棋だ。

 

ある時、ふとそう思いました。

こんな当たり前の前提を忘れて、そしてそれにはたと気がつく。これが、親が勝手に迷子になっている何よりの証。

 

理不尽な言葉もあった筈なのに、よくぞ辞めずに将棋を続けてきてくれたなぁと心から思う。

 

息子よ。すまん。

 

君は今まで色んな事を頑張って、魅力がたくさんある男の子に育ってくれた。絵も字も表彰される程に上手い、泳ぎも達者、友達を思いやる心を持ち、卵焼きの味はとても優しい。

 

父さんなんか君と同い年の頃、万引きはする、友達はどつく、スーパーをチャリで暴走する、喰らうのは王手飛車ではなく母の強烈な平手打ちという真のアホだったんだ。

 

言ってなかったけどな。

 

君は君の速度で、将棋が好きだという気持ちを忘れないまま進んで欲しい。

 

大会までの話に戻します。

今までは毎晩一緒に定跡の本を読んでいたけど、最近はその日指した将棋の振り返りを、二人で盤に並べてやる様にしている。AIは部分的に少し使うぐらい。それよりも二人で考えて、がちゃがちゃと盤上に手を伸ばす。弱い私の「こうは?」という一案に対して「いやいやいや」と失笑される事、山の如し。

 

正直、私とやっても効果が薄いだろうし、西日本大会までにもっと効果的な勉強法があるのも分かっている。でも君がとても楽しそうなので、何よりもそれが一番大切だと思う。

 

残りあと少し、君がのびのびと将棋を指せる様、少し背中を押しながら眺めているとしようかな。

 

そして当日は胸を張って会場へ向かって下さい。

 

結果は厳然とつくでしょう。でも結果がどうであれ、全力を尽くした事、仲間を頼った事、頼られた事、勇気を持って相手と向かい合った事が、君をまたひとつ大きくさせてくれる。

 

将棋の話ではなく、人として。

 

目を輝かせて指す三人の姿を想像すると、今から胸が高鳴ってくる。