インドのバラナシという処にグリーンのラッシーを飲みに行った。でも、グリーンと言うとなにか滅茶苦茶爽やかなイメージになってしまうので、どちらかと言うと日本語で”緑色”と言った方が実際のイメージをよく表していると思う。
ちなみに、ラッシーとはインド料理が好きな方なら大抵知っているであろう「ヨーグルトドリンク」の事だ。日本の薄口のラッシーとは違い、本場のラッシーは水なんかで薄めたりしない。小汚い壷の中に出来立てのヨーグルトと氷と大量の砂糖をぶち込み、これまた小汚い棒でかき混ぜただけの物。もちろん、現地の茶色い氷を砕いて使うので、危険度は日本で飲むラッシーの100倍。その代りに味も100倍うまい。
ラッシーを一口後、今まで体験したことが無い下痢に襲われるか、もしくはこれまた今まで味わった事の無い最高の味を体験するか、それはインドへ行った者だけが体験出来る選ばれし者のロシアンルーレット。
ヨーグルトが原料なので、基本的にラッシーの色は白。しかし、なぜか緑色のラッシーが存在する。それこそ、インド全土で味わえるのだが、なんと言ってもインド聖地「バラナシ」の緑色のラッシーは昔から有名である。
なんと言っても、バラナシの緑のラッシーはお気軽に体験出来るのがよい。バラナシに沢山あるラッシー屋の親父に「バング・ラッシー!」と魔法の言葉を告げるだけで、「ほいきた!」と熟練、かつ雑な手つきでラッシーを作ってくれる。
躊躇は要らない。マクドナルドで注文するより簡単だ。なにせメニューはラッシーしかない。それこそ、マクドナルドのLサイズ、Mサイズを頼むかごとく「ストロング」「ミディアム」
と告げる。ちょっと通ぶって「スーパーストロング」なんて注文するのもお洒落。
数分後には出来たてホヤホヤの緑色したラッシーが目の前に置かれるはず。
一気飲みするのもよし、たまにお巡りさんと一緒にチビチビやるのもよし。どっちにしろ最高のインド旅行の思い出になるに違いない。
ところで、この緑色したラッシー、緑色という事の他に、何が通常の白いラッシーと違うのか?
それこそ、「バラナシに行った者だけが味わえる最高の体験が待っている」とだけ言っておこう。
バラナシのラッシー屋が集まるのはメインガートへ伸びるゴードリア交差点角。畳一畳分の狭い店構えのラッシー屋が、5件程並んでいるので、すぐに分かる。たまに、ラッシー屋が潰れたとか噂が広まる時があるが、インドの歴史同様、あと、5000年は潰れる事は無いだろう。
これが(毒々しい)緑色のラッシー(スーパーストロング)。
ラッシー職人。仕事は雑だ。
お巡りさんとも和気あいあい。