ありすのブログに
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九年前
あの日私は…

とあるコンビニで働いていた

揺れを感じ
東北で大きな地震があったと

それ以外は
何も知らず


夕方仕事に入った


店には本部からのメールが
ひっきりなしに入って

ヤマト運輸からの連絡

それを受けながら
何が起きたんだろうと
ざわつきながらも

港にあったコンビニが
流された…
津波が起きた…

真っ青な顔で来店されたAさん

Aさんのご実家のある地域も
津波が襲い

親戚の方々とも
誰とも連絡がとれない
家にいて苦しくて

でも
行くところもないから

ここに来たの

ごめんね


今にも涙が溢れそうな目


Aさん
ここにいて

そう言って
事務所から椅子を出し
レジカウンターの奥まったところに
座っていただいた


迷惑になるわ

そう呟かれたが

私がいたコンビニのオーナーは
私がした行為を
絶対に
否定しないという自信があった

地域密着
コンビニが駆け込み寺になる

そんな話を
いつもされていたから

来店されたお客様は
口々に
えらいことになってるな~と

そして
Aさんの事情を伝えると

励ましでもなく
慰めでもなく

ただただ
優しい言葉をかけられた

夜になり
ご主人が迎えに来られた

何度も何度も
頭を下げて
お礼を言われた


私がしたことは
何でもないこと

不安な時に
一人でいるのはつらいと

そう思っただけ


あの日
私は…

自分の小ささを
知った

あの日
私は…

あのコンビニで
必死に働きながら
生きていた

消えゆく命と
裏腹に


私は
あの日
生きていた




あれから
Aさんにはお会いしていない


コンビニや
ドラッグストアが
物を売るだけではなく

地域のコミュニティーとしての
役割を
企業として
担う動きがあればと思う

企業としてではなく

そこには
末端の店舗で働く
一人一人の人としての思いと
判断


あの日
私は…


生きていた


そして

私は…

生きている



合掌