海辺で
両手いっぱいに
すくった砂が

指先から
サラサラと
こぼれ落ちるのを

抗いきれず



ふたつの
手のひらの上に

残る砂のなかにみつけた




波に洗われ
まるくなった硝子玉



きらきら光り

小さく小さく
存在を
訴えて

見つけてくれた

見つけてくれた


喜ぶ様が


大切な宝物を見つけたみたいに

私を
元気づけた



人生も
この手にすくった砂のように


落ち行くものより

残るものの中に


きらきら光る
大切なものが
あるのかもしれない



残るものではなく
もとから
そこに

静かに
静かに

息を潜め

あったのかもしれない




無限のものを
手にしたくて

この広い砂浜で

両手に余る砂を
すくい続けるのは


あまりにも
無意味なことだと



きらきら光る硝子玉が

小さく
小さく

ささやいた




寄せる波に

身をまかせ



こぼれ落ちる砂は

自然にまかせ



長い時間を
旅してきた


硝子玉を

大事に
大事に



そのささやきに
耳を傾け



私も
波に揺られて



ゆらゆら

揺られて