小さな頃の写真
おむつを変えてもらってる
私のとなりに
おたまはんがいる
そんな写真があった
白にキジの
ぶち猫
ビニールのおもちゃの
乳母車に
おたまはん
それを
押してる私
たしか
頭にはネッカチーフ
白黒の写真
おたまはんの最期は
知らない
昔のことだから
外へ自由に出掛けていたはず
天寿を全うしたのか
帰って来なかったのか
今となっては
問う人もなく
けれど
生まれたときから
私のそばには
猫がいた
私のはじめての猫
名前は
おたまはん
それだけは
覚えている
小さな私に
されるがままの
おとなしい
おとなしい猫だったと
聞いたことがある
もう
とっくに
虹の橋を
反対に渡り
生まれ変わって
出会っていたかもしれないね
四半世紀前のこと
なぜか
今
思い出した
おたまはん
おぼろげに
あのぬくもりと
日向の匂い
甦る記憶
薄暗いうなぎの寝床
ひんやりとした
たたき
開けっ放しの
はしりもと
京都の真ん中で
過ごした
おたまはんと私
私のはじめての猫
おたまはん
ありがとう