むせかえるような
あの夏の日


あなたのとなりにいた

あなたの横顔が
好きだった


置いてきぼりに
ならないように


早足で

あなたに並んで
歩いた私



でも
一番好きだったのは

あなたの背中



あなたの背中は


嘘をつかない




あなたの背中は

泣いていた






どうしようもないくらいの
切ない思いと




どうしようもないくらいの
熱い思いを



抱え込んだ

あなたの背中は



泣いていた







あなたの背中は
嘘をつかない





後ろ姿を見ると
その人がわかる




そんな事を
聞いたのは

いつだったか


そんな事を言ったのは

誰だったか



背中に背負った荷物は


降ろしたら?


嘘をつけない
あなたの後ろ姿に




そっと呟く夏の日



あの日と同じ


むせかえるような
空気の中で



あなたの手だけが

冷たかった



巡り来る夏の日に

幾度となく
同じ気持ちになり


この先も


また


夏を迎える