ある日、かめ先生がクラスのおもちゃ箱を整理していました。年季の入った、色あせたおもちゃを見つけると、先生はため息をついて言いました。
かめ先生: 「これ、もう使わないよね。さようなら、古い友達。」
すると、その言葉を聞いたせんちゃんが駆け寄ってきました。
せんちゃん: 「ちょっと待って!それ、僕のお気に入りのおもちゃだよ!」
先生は驚き、せんちゃんの真剣な表情に目を細めました。
かめ先生: 「でもせんちゃん、このおもちゃ、もうボロボロだよ。新しいおもちゃに変えた方がいいんじゃないかな?」
しかし、せんちゃんは頑なに首を横に振りました。
せんちゃん: 「だって、このおもちゃと一緒にいろんなことをしたんだよ。新しいおもちゃに変えたら、その思い出がなくなっちゃう。」
せんちゃんの言葉に、先生は少し考え込みました。そのおもちゃは確かに古かった。でも、せんちゃんが言うように、それは彼の大切な思い出の一部でもあったのです。
かめ先生: 「そうか、せんちゃん。それなら、このおもちゃはまだまだ大事に使うべきだね。ありがとう、せんちゃん。」
せんちゃんはにっこりと笑い、おもちゃを抱きしめました。それはただの古いおもちゃではなく、せんちゃんにとっての宝物だったのです。
一週間が過ぎ、そしてもう一週間。かめ先生は幼稚園の部屋をきれいにするために、いくつかの古いおもちゃを処分する決断をしました。その一つは、せんちゃんがかつて遊んでいたおもちゃでしたが、最近では全く触らなくなっていました。かめ先生は静かにそのおもちゃを手に取り、捨てようとしました。しかし、その瞬間、せんちゃんが駆けつけてきました。
せんちゃん「かめ先生、それ捨てないで!」
かめ先生「せんちゃん、でもこのおもちゃ、君はもう遊ばなくなったよね?」
せんちゃん「でも、でも、それは大切なおもちゃなの!」
かめ先生「せんちゃん、君が大切に思っているなら、それはいいことだよ。でも、おもちゃが増えすぎると部屋が散らかってしまうんだ。だから、もう遊ばないおもちゃは処分することにしたんだよ。」
せんちゃん「でも、そのおもちゃは私がもう遊ばないって決めたわけじゃないの。だから、まだ捨てないで。」
かめ先生はせんちゃんの言葉を聞いて、少し考えました。そして、せんちゃんの真剣な表情を見て、再びそのおもちゃを棚に戻しました。
かめ先生「分かったよ、せんちゃん。でも、このおもちゃを遊びたいときは、ちゃんと片付けることを忘れないでね。」
しかし、数日後おもちゃはおもちゃ箱の中に出されずに放置されましたとさ。