タカラモノ

【あらすじ】
大学時代にお互いの夢を語り合った6人組がいた。
そのグループの名前は「六角星」
そんな夢を語り合う場面からこの舞台は始まります。

3年の月日が過ぎ、サラリーマンになりそれぞれの悩みを抱えながら、自分の人生と闘っている六角星がいた。

リーダーになれない立花竜(リュウ)
やりたいことが見つからない真鍋夏菜子(マロ)
思うように夢に近づけない池西翔太郎(イケちゃん)
過去の自分に縛られて前に進めない竹中萌美(モエ)
とにかく変わりたい金光剛司(ゴウシ)
誹謗中傷に傷つき挫折しそうな小海すみれ(すみれ)


「悩んだ時に行きなさい」祖父が残した宝の地図。
再結成、しかしそこにも難題が…

果たしてリュウは祖父の伝言通りにかつての仲間たちとタカラモノを見つけることが出来るのか!?



大阪旭区にある大阪市立芸術創造館で行われた劇団MONA公演の
「タカラモノ」

3月16日が初公演を含む2公演。
そして17日が千秋楽の計3公演でした。
常設の約120席に特別席を加えた約150席全て完売。

あらすじを読んでいただいて、
では、問題!
【問】タカラモノって何でしょう?

たぶん10人が10人正解を答えると思います。


ここからは個人的感想です。
「タカラモノ」が何かが解る通り
この舞台はストーリーを楽しむっていうのではないんです。
では、何を?
学生であれ、社会人であれ全ての人は悩みを持って生きています。
仕事に行き詰まる人。
人間関係に悩む人。
思いと現実のギャップに悩む人。
夢すら持てない人。
夢に向かうことが合っているのかを悩む人。
そんな悩みをみんな持って生きています。

ここに登場の六角星の彼ら(彼女ら)も、そんな悩みを持って生きている人たちなんです。

そんな六角星の生き方を、悩んでいる姿を、
そして悩みに負けずに闘う姿を、一歩を踏み出す姿を見てもらう舞台なんです。

一言で言えば
生きる力を、
勇気をもらえる舞台です

他の芸術作品や音楽、映画などと同じように、舞台は見た人が最高と思えばそれはその人にとっての最高の作品だと思いますし、
いくら周りの方が良いと言っても、見た人が何も心を動かされなけれぱ良い作品とは言えないでしょう。

しかし、何も悩みのない人なんていない!
だから彼らの生き方を観ればきっと心は動かされるのは間違いないと思います。

自分に自信がない、変わりたいと思っている方にもオススメ!



出演者さんそれぞれの感想については、この舞台の挿入歌を歌っている出演者さんと同じMONAモデルのriho(舛田里歩)さんのブログをご覧下さい。
凄く丁寧に書いてくれています。




モックが、気にいった場面は2つ。
この舞台は、最初の自分たちの夢を語り合う場面と、最後に再び夢を語り合う場面があるのですが…

*金光剛司(ゴウシ)役の佐々木俊典さん

ゴウシが、再び夢を大人しい彼が力強く語る部分では思わず拍手して「がんばれー!」って叫びそうになりました。

彼の舞台を観るのは2度目となるのですが、前回の時も今回も
情熱的に訴えかけてくる演技は、本当に心に刺さり届いてくるんです。

そして、舞台本番が始まる数日前まで夜のあいている少しの時間を使い、大阪のなんばや天王寺、梅田などで、この舞台の公演全てを完売にし、少しでも多くの方にこの舞台を見ていただきたいという願いで手売りしていたというエピソードにも感動しました。

こういう舞台にかける気持ちというのも演技にあらわれていたんじゃないでしょうか。

もうひとつの場面は、たえず周りのに気を使い自分の意見を抑えているマロ(石木さゆりさん)が、イケちゃんに意見をする場面。

*真鍋夏菜子(マロ)役の石木さゆりさん

*池西翔太郎(イケちゃん)役の芦田雄太さん

この2つの場面だけでもこの舞台を観に来た価値がじゅうぶんにあったと思えました。


*向かって左
六角星のメンバーのモデルすみれのライバル、リコ役の西岡千尋さん
スミレが活躍するのを妬み、陰ではネットでの誹謗中傷を行う悪役。

右、六角星のメンバーであり活動的で姉御肌の竹中萌美(モエ)役の吉川舞さん
小さい時からの夢であった看護士には卒業後すぐになるのだが、日々看護士の仕事に追われるだけで自分が描いていた看護士像と違うことに気付き、これからどうしてよいか悩む。

真ん中
そのモエのいつも側にいて寄り添う、頼りになるカッコいい先輩美月役の大倉悠(はるか)さん

この舞台では
大学を卒業してからのそれぞれのドラマを、リーダーのリュウとマロ以外は2人芝居で進めていきます。
ストーリーでは意外性がない展開のため、このそれぞれのドラマが凄く重要で、六角星以上に演技力を求められると思うんです。

日本一の漫才師を目指す池ちゃん(芦田雄太さん)には相方の俊樹(齊藤大地さん)
台本を見ましたが、この舞台でやる漫才は全て二人にお任せのようで、あれだけの笑いがとれるのはそれだけ多くの練習があったことを想像出来ます。
なんばハッチでちょくちょく吉本の若手の方が練習しているのを見るのですが、笑いを取るためにはその「間」などは練習でしか獲ることができないようです。

すみれ(三上よしかさん)にはリコ(西岡千尋さん)

*小海すみれ(すみれ)役の三上よしかさん

ゴウシ(佐々木俊典さん)には、元気いっぱいで社交的な妹杏役(川森萌可さん)

そしてモエ(吉川舞さん)には、先輩看護士役の美月(大倉悠さん)


*美月役の大倉悠さん




ここからは妄想劇場(台詞から見る美月像)

*立花竜(リュウ)役の杉山将生さん

杉山将生さんは、リュウが最後にコンサルティングする相手に対して言う言葉「じゃあ、一緒に原因を考えていきましょう
(他人の言葉にも寄り添ってしっかりと聞く)
この一言のために役作りをしたように思えるのです。
この一言を活かすために、それとは真逆の絶えず上から目線で命令口調、自分の言うことを強引に通していくというような性格を作り上げていたように思えるのです。
そして、見事にその一言は活かされリュウ自信が大きく変わり前に進むという印象をお客様に伝えることが出来たと思うのです。

それでは美月先輩ってどんな人なんだろう。
一番彼女をあらわしている台詞「ベテランなめんなよ」だと思うのです。
いつでもモエに寄り添い、出来る先輩としてアドバイスも行う。かといって冷たいという印象ではなく砕けた一面も持っている。
登場して最初がお酒に酔ってグデングデン。でも退場する時には颯爽と。
この時に「モエに合わせてやってただけだよ」なんて台詞があれば「男とドラム缶は転がしてなんぼ!」の台詞も、なるほどそんな性格なんだあって思えたかも。(モックにとってはこの台詞は印象には残ってもなぜか浮いた台詞になっていました)

あとは、あくまでも先輩として少し上からの対応を強調し、偉そうに見えるくらいの方が良かったんじゃないかとも思う。
そうすれば、「ベテラン…」の台詞を行った時に、カッコいい!しかもやっぱり優しい先輩美月が完成したんじゃないかと…(あくまでも妄想劇場)ひとつの台詞を活かすために役を作る。そんな方法もありかなんて思うのです。
まあ、全くの素人ですから合ってるのかもわかりませんが。

普通、生活をしていれば人は喜怒哀楽もあれば、強いところも弱いところもいろいろな性格も出てきます。
でも、舞台では「そんな奴はおらんで」くらいで丁度いい。
ちょっとカッコいいんじゃなく、めっちゃカッコいいそんな徹底した役作りをしてもらいたい。

*竹中萌美(モエ)役の吉川舞さん


ちなみにこの舞台写真撮影OKの時のこの写真
もちろん戦隊モノではなく、彼らが大学生最後の想い出にと夏休みに福祉の活動をするために  子供たちを喜ばせるための衣装です。
これが、のちに再集結のための重要なアイテムになります。


最後に、ちょっとイイ話し。
劇場MONAの皆さんは、多くの人に大切なメッセージを伝えるだけではなく
こんなこともされています。
舞台の練習が終わったあと、後片付け、そしてひとりひとりが10個のゴミ拾いをし
来た時よりも帰る時がキレイになるようにと心掛けているようです。


いろいろといっぱい書いちゃいましたが、結局は楽しい時間を過ごせました。

そして
このメンバーで、もう一度
成長した「タカラモノ」を観てみたい!とも思いました。