ずっとずっと昔、今よりも空を見上げてた頃。
UFOを探してた🛸

UFOを呼ぶことは無かったけれど、それは呼ぶという発想と方法を知らなかっただけで、知っていたら呼んでたと思う。

空に近い場所だったから、横田基地から観たことない機体が近くまで飛んでくるたびに「(UFOの事を調べているのかも知れないな...)」と結構本気で思っていた。
大きなアンテナを背負ったそれは、E-2Cと呼ばれる飛行機だったと知ったのはついこないだのことだ。

肉眼ではるかはるか遠くの地平線まで見えた。
新宿副都心は雨で煙ってない限り見え続けたし、晴れていれば池袋のサンシャイン60と港区芝公園の東京タワーも見えた。
いつしかそこにスカイツリーも加わる事になるのはもっともっとあとのことだ。

隣の家の一個上の先輩と相談しあって、UFOが来るとしたらどういうルートでどんな姿かを真剣に話し合った。

僕は双眼鏡を覗いて、地平線の向こう側知らない陸橋の手前の信号機🚥のチカチカを最初に観るのが常だった。
「あそこはどこなんだろう」と、遠近が混じり合ってもしかしたら行ったことあるかも知れない場所の明滅に納得してから、寝転んだまま空にレンズを向けた。

先輩の望遠鏡を覗けば、光の湯気の向こうにどこか知らない街の、けれど見たことのある看板が映し出されて、それだけで誰も知らない秘密に僕らだけが気づいた瞬間だった。

時々、空を真剣に見上げてる人がいたら。
多分、誰も知らない真実に少しだけ近づきたくて、何かを探してるのだと思う。