ジリリ、ジリリ
休日にもかかわらずスマホの目覚ましが鳴る。
今日が休日ぐらい分からぬのか!このクソ●●●!
私は憤怒に身を悶えさせながら布団に入り、酩酊よりも、陶酔よりも尊き快楽に溺れる。
昼前にむくむくと目覚める。
目をεεにしながら、最近育て始めた大葉に水をやりにベランダへ行く。
植えた記憶のないペンペン草のような植物が生えてきているが、私はあまり気にせぬ。むしろ喜ばしいことだと愛でる。
思考のぼやけた頭をスッキリさせるため、私はお湯を沸かし、コーヒーを淹れようとする。
しかし、コーヒーはかれこれ1ヶ月近く切らしていることを思い出す。
せっかく沸いたお湯を使わないのもったいないので、私はお湯を飲む。
ゴク、ゴク、と喉が鳴る無機質な音が部屋に響き渡る。
私はその音を聞き、ただただ無感動に家の薄汚れた壁の一点をぼうっと見つめる。
ゴク、ゴク、という音が部屋に響き渡る。
ややお腹が膨れ満足する。
家にいてもすることがないことに気付いた私は、深い皴の入った30年物の"ジャンパー"をはおり、刺激を求め外へと繰り出す。
ふと用水路で立ち止まると鯉が数匹パクパクと音を鳴らしながらエサを求めてくる。
私はパンの粉すらも持たぬというのに、滑稽である。
当初は愉快、愉快、ここ最近でトップクラスに愉快であるな、と思っていたが、群れる鯉の蠢く口をよくよく見ていると恐ろしくなってきた。
鯉はこうやって自分という存在が何であるかを知りもせずに、この淀んだ世界でこうしてパンを持たぬ冴えない存在に対して口をパクパクさせて一生を終えるのだろうか…
そう考えると少しぞうっとして、私はそれを見なかった事にするかのように足早にその場を立ち去った。
パク、パクという淀んだ水面が踊る音が、虚無を告げる使者のように背後から鳴っていた。
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■問1
お湯を飲みながら薄汚い壁を眺めた際の"私"の心象について、実体性が持つ主観的誤謬を含め2000字以内で論じなさい。
■問2
"私"が鯉を見て眺めて恐ろしくなった理由について、レゾンデートルの発露とニヒリズムの拮抗が"私"に与えうる心理上の作用について、考えられうる精神的機序を含め2000字以内で論じなさい。
■問3
εを"私"の誘電率とする。
任意波長の電磁波が起きたての"私"のεεを透過するとき、私の脳内で誘起する起電力を求めよ。またその時に見る脳内イメージはどのようなものになるか。