前にも後にも、メジャーにもマイナーにも、
これほどまでに、素晴らしい、と言ったバンドがあるだろうか。
歌の力、旋律の美しさ、激しさ、詞の重み、
ライブパフォーマンスの凄さ、そのMCの素敵さ、
3ピースバンドとは思えない演奏の厚みetc...
こんなバンドがいただろうか?
これから現れることがあるのだろうか??
そんなeastern youthのベーシスト、
ニノさんこと二宮さんが脱退する事になった。。
これについてあれやこれや推測する事は殆ど意味をなさないだろうし、
それは本人にしかわからない大きな決断だろう。
だからここは一旦、脱退する、という意思を尊重して物事を考えてみたい。
「違う道を歩いて行くだけ」
と昨夜のライブでは言っていたが、
その言葉には大きな、大きな思いがあるのだと思う。
決して、キャーキャーという黄色い声援が飛び、
出す歌どれもが良いセールスだったわけではない。
吉野さんも少し冗談めかして言うように、金がない!
というのは、様々な意味を込めて言っていることだとも思う。
正直な所、さみしい。
旅は続く、と聞いたものの、
あんな少しハゲた(失礼)、優しく、シャイで、熱いおじさんがどこにいるというのだろうか??
突然イカした若者ベーシストが入って来たら、
吉野おじいちゃんの介護士のように見えてしまうのではないか!?
田森メンバーとうまくやれるのだろうか??
などと要らぬ事を危惧して悩んでもみるのだ。。
とそんな事を思いつつ、
昨夜のライブを忘れぬうちに書き留めておく。
渋谷O-EASTは、会場と同時に凄い人。。
皆少しでも前をと、次々になだれ込む。
開演前から、いつものそれとは様子が違い、熱気が凄い。
そして1時間と少しの後に暗転。。
ウォオオオ!!という大声援!!!と同時に前へ前へと押しつぶされる。
ここ最近のeastern youthでは久しく感じなかった凄まじい圧力で、
思わず嬉しくてにやけてしまう。
そう!これこそロックのライブなんだ。
その昔ハイロウズのライブに通ってた時は、
頭を後ろからつかまれたり、頭の上を人が転がり、
その足で顔を蹴られて、頭にきてボコボコとそいつのケツをパンチしてやったりと、
ヒロトの前10mは、いつも、文字通りの爆心地だった。
そんな頃を思い出すような、この懐かしい圧力を感じてる間にメンバー登場!!
いっせいに「ニノさぁあああん!!!!!」の声援。勿論自分も。
そしてLIVEはアルバム「ボトムオブザワールド」を中心とした、
近年最強のセットリスト。
この新アルバムは、ニノさんの脱退決定前に製作とのことだが、
吉野さん曰く「これが最後の作品になるつもりで」作ったらしい。
そのアルバムの完成度、温度の高さと、ニノさんの脱退発表が相まって、
本メンバー最後の渋谷の沸点は、最高潮に達していた。
疾走して行くLIVEとともに、
ふとした瞬間にニノさんを見ては、泣けてくる。
朴とつとした表現者だが、その内に秘めたる情熱に溢れている人だ。
気のせいかも知れないし、そうなのかも知れないが、
最前部にいるので、もろに泣いてる顔で演奏中にメンバーと一瞬目が合ってしまう瞬間があり、
でも、それでも良かった。
僕は、あなたというメンバーがいなくなる事が、寂しいのだから、
それが、ただ泣く、という稚拙な表現しかできなくても、
それが微塵でも伝われば良いんだから、それでいい。
とにかくこっちは泣きたい気持ちでいっぱいなんだ。
辞めて欲しくなんか、ないんだから。
そんな寂しさとは裏腹に、
楽曲のテンション、客のヴォルテージはMAX、容赦なく疾走して行く。
「直に掴み取れ」では、
サビの盛り上がりの絶頂で、吉野さんが笑っていた。
そんな姿は見た事が無かった。
そしてそのまま間奏でヒゲダンスをしていた。。
照れ隠しなのか、
あまりに楽しかった、幸せだったのか、
それは分からなかったが、
一緒に笑いながら大合唱した。
「押し付けられた、世界を踏み外して、行くも戻るも、風に聞く!!
誰かが決めた、未来を、突き返して!!
人間万事塞翁が馬!!
直に掴み取れ!」
そして吉野さんは言う、
「旅は続く!!」
そして歌う、
「荒野に針路を取れ」。
このLIVEではほとんどMCが無かった。
それがまた何というか、
何も言わない、
何も言ってくれない事が、
ただただ近づいて来る別れの寂しさを倍増させたのかも知れない。
このようなセンチメンタリズムや、ノスタルジーなど、
eastern youthからは一番遠い物なのに、
どうしても、昨日だけはどうしても、
そんな気持ちになってしまった。
唯一のMCはニノさん!
しかし、
「今の暑さは、これは今は初夏というのですかね?」
みたいな事を話していたが、ほぼどうでも良かった。
みんなそのどうでもい話しより、
ただただニノさんを暖かく眺めていた。。
二宮さんの家族も来ていたようで、
娘さん?が「パ~パ~!!」叫ぶシーンがあり、
なんとも言えずハートフルな雰囲気になる時もあった。
いつもと違って、
20年来?のファンも多かったようで、
とんと聞かなかったヤジも多く、
小うるさい時もあったが、
やはりああいう人がいるからこそ盛り上がる、ってのも事実。
色んな人がいるけど、
皆少しの寂しさを胸に、
eastern youthをその目に焼き付けに来ているのだ。
ダブルアンコールでの、
「夜明けの歌」が終わり、
文字通りの、万雷の拍手が巻き起こり、終演。。
吉野さんは、
演奏中も、何かニノさんの方を何ども照れくさそうに見たり、
タイミングを合わせる事を味わってみたり、
ひとつひとつのことを、噛み締めているようだった。
ニノさんは、
笑って、
堂々と、
晴れやかに、
珍しく投げキッスをして去って行った。。
...それだけ。
そう、たったそれだけの事。
何か現実感のない、そんな時間だった。
歴史に残る時間があるとしたら、
僕らにとっては、
間違いなくこの時間がそうだった。
この場に立って、
時間と場所を共有する事が出来て良かった。
eastern youthの旅は、続くのだ。
これは終わりではない。
そう思いながら、
びちゃびちゃになった洋服と、
全身の節々が痛く、
喉が切れたようにガラガラになった、
そんな重い体を引きづって、
渋谷の街をトボトボと歩いて帰った。
二宮さん、
今まで、数々の素晴らしい演奏をありがとう。
僕はあなたの、eastern youthを聴く事で、
いつも自分と向き合い、闘う事を選んで来れました。
あなたの朴とつとした、それでいて内に秘めたる熱さは、
僕らにずっと伝わっていました。
人はそれぞれ別の道を歩くことが、皆、幾らでもあると思います。
これからもずっと、その道で闘って下さい。
eastern youthに出会えて良かった。
これからもずっと、この旅を共にしようと、
強く、強く思った。



