設問2 | 65歳の芸大生

65歳の芸大生

定年退職後、新しいことにチャレンジしたいと考えて、今まで縁がなかった芸術について学ぼうと思い、京都芸術大学通信教育部芸術教養学科に入学しました。このブログは学習記録としてレポート等の成果を載せています。複製、転載はご遠慮ください。

その技術を今日維持するための手段について、考察してください。

1.序論 

 裁縫は、衣服やテキスタイル製品の作成、修繕、メンテナンスを可能にする基本的な生活技術である。伝統的な職人技や手作りの品々が現代社会で高く評価されるようになる中、この裁縫技術の継承は極めて重要である。 

 しかし、裁縫という技術の継承は極めて困難な現状がある。設問1でも述べたが、家庭における裁縫の実践機会が減少していることが問題である。かつては、家庭での裁縫作業を通して子供たちが技術を身につけることができたが、核家族化や共働き世帯の増加などにより、そうした機会が失われつつある。

  さらに、伝統工芸の継承にも深刻な危機が訪れている。裁縫技術の担い手の高齢化や後継者不足などにより、優れた匠の技が失われつつある。伝統的な裁縫技術を学ぶ機会を子供たちに提供することは、文化の継承につながり、ものづくりの価値を次世代に伝えていく上で重要な意義を持っている。  このような問題を解決するためには、学校教育における裁縫教育の充実が臨まれる。裁縫は、単なる衣服の製作技術にとどまらず、創造性や問題解決能力、ものづくりの喜びを育む基礎的な生活スキルであることからも重要である。しかし、昨今の教育現場では、裁縫教育をめぐる課題が深刻化している。 

2.学校教育の課題 

 学校における裁縫の授業時間数が削減されていることが大きな課題である。近年、学校教育では基礎学力の向上に重点が置かれ、裁縫などの実践的な技術教育が軽視される傾向にある。

  また、裁縫の専門知識と実践経験を備えた教員の不足が問題となっている。伝統的な裁縫技術が急速に失われつつある中、適切な指導ができる教員を確保することが難しくなっている。多くの教員が裁縫の専門性を十分に持ち合わせておらず、伝統的な技法や匠の技を生徒に伝えられないのが現状である。

  加えて、学校の裁縫実習設備の老朽化も問題となっている。適切な裁縫機械や道具、素材を備えた実習環境の維持は容易ではない。設備の不備は、生徒の学習意欲の低下や、幅広い裁縫技術を習得する機会の減少につながる。

  以上のように、裁縫教育をめぐっては教員不足、授業時間数の削減、実習設備の老朽化など、深刻な課題が山積しており、これらの問題に真摯に取り組み、学校教育における裁縫の位置づけを再構築することが、伝統的な裁縫技術の継承につながるのではないだろうか。 4.社会的支援の必要性  企業や NPO、地域コミュニティによる社会的支援は、学校教育の枠組みを補完し、裁縫技術の継承に大きく寄与することが期待される。

  まず、企業や NPO による支援が重要である。企業は、裁縫教育に必要な資金や設備、指導者の育成などを通じて、学校現場を支援することが可能である。また、NPO のような非営利団体も、伝統的な裁縫技術の保存や、裁縫教育プログラムの開発・実施など、様々な取り組みを行うことが期待される。こうした外部からの支援を受けることで、学校教育における裁縫の位置づけが強化されるであろう。  次に、ボランティア指導者の育成も不可欠である。前述のように、裁縫の専門知識と指導経験を持つ教員の不足が問題となっている。そこで、地域社会からボランティアとして、裁縫の達人や熱心な趣味家などを募り、指導者として活躍してもらうことが考えられる。これらのボランティア指導者が学校現場で活躍することで、裁縫教育の質的な向上が期待できる。

  最後に、地域コミュニティの役割にも注目する必要がある。地域で裁縫に関する講習会の開催や、伝統的な裁縫技術の継承活動などを行うことで、幅広い世代が裁縫に触れる機会を創出できる。こうした地域主導の取り組みは、裁縫への関心を喚起し、技術の伝承につながる。地方自治体や地域の NPO、住民組織などが中心となって、裁縫を通じたコミュニティ活性化を図ることも重要である。 

4.結論 

 以上のように、企業や NPO、ボランティア指導者、地域コミュニティの連携と協力が、学校教育の裁縫指導を補完し、裁縫技術の継承に大きな役割を果たすことが期待される。これらの社会的支援を通じて、裁縫教育の課題解決と、ものづくりの価値の次世代への継承が実現できると考える。