レポート試験 | 65歳の芸大生

65歳の芸大生

定年退職後、新しいことにチャレンジしたいと考えて、今まで縁がなかった芸術について学ぼうと思い、京都芸術大学通信教育部芸術教養学科に入学しました。このブログは学習記録としてレポート等の成果を載せています。複製、転載はご遠慮ください。

自分の身のまわりの行事や参加したイベント等を素材に、これを「時間のデザイン」の観点から言及してください。

 

時間をデザインするということは、講義の最初にもあったように、連続して流れている時間を不連続なものとして捉える。つまり、日常とは異なる時間の流れを感じとることと考える。そのような行事、イベントとして「お墓参り」がある。このイベントは時間だけでなく、自然に囲まれた静かな環境は、空間の不連続を感じる場であり、時空をデザインするイベントであると思う。  墓地で時間を感じるということは、そこが持つ静けさや歴史的背景、そこに眠る人々の生きた証を通じて、自分自身の存在や、時間の流れを深く意識することを示している。墓地は過去と現在をつなぐ場所である。私たちは、未来の時間を絶えず気にして生活している。スケジュール帳で予定を確認するが、過去の予定を確認することはない。しかし、墓地を訪れることで、過去の時間に触れることができる。そして日常生活で経験できない感覚や、体験を得ることができると考える。それを以下のようにまとめてみた。 

1.反省と内省 

故人との関係を振り返りながら、自分自身の生き方や考え方について深く考える時間を持つことができる。故人への感謝の気持ちや、故人が生きた証を通して、自分自身の現在の立ち位置を見つめ直し、これからどのように生きていきたいのか、どのような人間になりたいのかという視点で内省することが可能となる。

2.歴史とのつながり 

墓地には歴史が眠っている。墓石に刻まれた日付や名前から、過去の人々の生活や社会の変遷を想像し、自分たちの時代が長い歴史の流れの一部であることを実感する。さらに人生のはかなさや、自分が生きている時間の価値を改めて考えさせられる。また、日本の伝統的な習慣であり、この習慣を通じて、日本の文化や歴史について学ぶことができる。特に若い世代にとって、お墓参りは先祖の歴史や家族が大切にしてきた価値観を理解する機会となる。 

3.生と死の循環

生命のはかなさや、世代から世代へと続く生命のつながりを感じることができる。この経験は、人生をより深く理解し、現在の瞬間の価値を認識する手助けとなる。また、時間の終わり、すなわち死を身近に考えることで、今ある時間をどう使うかを考えるきっかけにもなる。 

4.感謝とリリース 

亡くなった人々への感謝の気持ちや、過去の経験や悲しみから解放される感覚を持つことがある。これは精神的な癒やしや成長につながることがある。例えば、故人がまだ身近にいるかのように感じ、心の中で対話を交わすことができる特別な時間を持てる。墓石に向かって自分の悩みや苦しみを語りかけると気持ちが楽になることがある。  

 以上のことから、墓地で時間を感じるというのは、単に過ぎ去った時間を感じるだけでなく、人生の深い意味を探求し、自己と向き合う経験を持つことや、自分自身の過去の行動を振り返り、未来に向けての目標や希望を新たにする機会をデザインしていると考える。