いっぱさんのサイトにお邪魔したらかわいい5つなを見つけてしまって思わず殴り書いた。
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元ネタを先にご覧にならないと意味わからないと思います。元ネタはあれです、沢田が記憶喪失になるやつです。
無駄にシリアスぶってます。ぶってるだけでなりませんでした。
短いです。よしなに。
















―――ここは、どこだ。

既視感のある白い空間。ツンと鼻につく薬品の香りに、傍にある大きな窓。目線を下げれば、視界に入るのは清潔感のある水色の布団。
ここを俺は知っている。知っているとことを知っているが、それならここは一体どこなのか、と聞かれれば答えはでない。

(この匂い……シャマルの部屋か?)

そう考えて、いやいやいやと首を横に振った。
シャマルの部屋がこんなに綺麗だと?有り得ない、絶対に。というかそもそもシャマルが意識のない俺から目を離してどこかに行くか?万が一があったら大変なことになるぞ。
不本意ながらも、俺はボンゴレ十代目候補だ。こんなところに置き去りにされて、いつものように闇討ちされたらどうすんだ。
……いつもの、ように?
俺は厄介払いを受けているボンゴレ十代目、候補。いつも、誰かから命を狙われている。そのはずなのに、なぜか「違う」と頭の中で誰かが叫ぶ。
いや、合っている。違うはずがない。だってそれを否定してしまったら、俺は今「平々凡々で自由自適な生活」を送っていることになる。
まさか、だって俺の手はいつも血に塗れているはずで、

「……なんで」

広げた両手を見つめる。俺の目に映るのは、すらりとしていて少しばかり不健康そうな白い指。拳銃でできたタコも、誰かに打たれた銃創も、ましてや赤黒く変色してしまった血痕も、何も残っていない。
これは誰の手だ。誰の指だ。誰なんだ。

「俺は、誰だ……?」

不安の種を零した瞬間、バンッと扉が開けられた音と共に一人の少年が入ってきた。


「あーっ!!沢田!!」
「っ!?」
「つなよし、沢田が目覚めた!」

は?沢田?俺のことか?やっぱり俺は沢田綱吉なのか?いやまて、あいつは俺じゃない誰かを「つなよし」と読んだ。そいつが「沢田綱吉」で俺は「沢田」であって「沢田綱吉」ではないのか?
混乱し続けた俺は不甲斐なくも、隣に人が来たことに二人が話し出すまで気付かなかった。

「はーっ、よかったぁ。沢田が起きなかったらどうしようかと思った」
「確実に本体の寿命が縮まっていたな、精神的に」
「ソウデスネ……」

なんだこいつら。双子か?そっくりだけど、誰かに似てんな。というか、「つなよし」と呼ばれた方の額に灯っているのは死炎?まるで俺と同じみた、

「俺……?」

似ているのは死炎じゃない。俺と、あいつらを形成する全てだ。俺が正しく「沢田綱吉」であるというのなら、あいつらもきっと「沢田綱吉」だ。だからさっきも「つなよし」といった。

どうして?

「沢田?どうしたの?」

具合悪い?と俺の顔を覗き込んでくる本体と呼ばれていたやつの顔をまじまじと観察する。見目はまるで俺だ。多少の違いはあれど、おおよそを形成する部分は等しい。
分からない、ここはどこだ。俺は誰だ。俺とそっくりな顔で、体で、声で、そして俺とは対極の、澄み切った瞳を持つおまえは、誰だ。



「さ、わだ。そんなに見られると恥ずかし――」
「おまえは、」
「え?」

おまえは誰だ、と思わず言いかけた口を閉じる。しかしそれも遅く零れてしまった言葉はしっかり聞き取られてしまった。
慌てて訂正しようとしたところで、はたと気づく。
分からないなら、調べればいい。
隣にいるやつがどうかは分からないが、あいにくとこの目の前で顔を赤くしているやつは人の機敏に聡い方ではないらしい。
大丈夫だ、俺ならできる。何も知らないフリで誤魔化せ。今まで敵から求められた人間像を演じきって、黙すことができた俺なら。

「あの」
「え、あ、んん?どうしたの沢田」

「すいません。あなたはいったい、誰ですか?」

笑え、笑え。いつもの俺を隠して、数多の人間が大好きな沢田綱吉を演じきれ。



猫かぶり沢田のワケから思いついたネタ。
個人的に両手を呆然と見つめる図って好きなのでそれもいれました。
いやーーー昔よりは成長したと思いたい。

この後はもう大先生がおっしゃられた自分を思ってくれる誰かが衝撃的という通り記憶喪失に気付いたつなぺーが心配するところから少しずつ少しずつ狂いだす(良い方に)沢田。
ちなみにつなぺんは全然聡く無くないです。