迷子の拾い物 | 本橋ユウコの部屋

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近道をしようとして、道に迷って遅くなりました…(笑)。

で、ふと後ろを振り返ったらこれがあった。
デッカイ東京タワー。

既に暑過ぎるくらいの晴れ渡った青空に、よく映えるマットな朱色。

私にとってこの眺めは、電車に乗って遠くへ行ったら、天気が良くて富士山が見えたよ~!に匹敵するおめでたさがあるのですな。なんかウハウハする。海が見えてもこんな感じになりますが。


もぐの出身地の埼玉は、人に説明するときコレといって何も無いのが悩みの種でして。
海も無い。山もちょっと行かないと、無い。昔、アニメのドラ○もんの中に出て来るどこにでもありそうでどこだかサッパリ分からない感じが似てるな~とか思ってました。土管と空き地ありましたしね。。

うちのへんは江戸時代は天領だったらしいので格好良いお城も無いし(自治体が勝手に”再建”してるの除きます)、当然、名庭や伽藍の類も見当たらない。温泉も無い。

…変な話ですが、はっきりわかる地方の言葉も無いので、時々そういうのある人が羨ましいです。
って友達に言ったら怒られたけど。。差別だって。(うえーん違うよ~)

人間は無いものねだりだから。

自分の身近に無いとなると、すごく憧れるのですね。
「コレ=なになに」みたいなものに。キャラが立ってるってやつ?

大阪弁といえば、大阪(近頃は微妙らしいですが…)。

富士山といえば、静岡(あっ山梨もありましたね…)。

東京タワーと言えば、東京。

埼玉から東京に移り住んで、それなりに年月経ったはずなんですが、いまだに東京タワーは有難い。

首都圏と言われるとなんか良さそうですが、実は己のあいまいなアイデンティティに悩んでることが多い埼玉県民にとっても、それは安心して心を預けられる仮想の故郷、みたいなもんなんでしょうか。
そこにしがみつくようにして、自分が夢を追ったり、必死に生活している「東京」の、あるいは「日本」の象徴として。自分の外側を埋めてくれる輪郭として…。

そして今日、振り返った先にあのマットな朱色のタワーを見つけた私は反射的にこう思うのです。

「おお~、めでたいぞ!今日も良い事ありそう。。」みたいな。

道に迷って暑かったけど、良いもん拾ったから、と思えば。
ちょっと元気でそうじゃないですか?この景色をこれからは毎日見ながら通勤できるわけだ。フム。

もっとも、迷わずにまたちゃんとこの道に戻れたら、ですが…(笑)。