数年前に買って読んでいた本。

また読み返していたら、「不耕起」のことも少し触れてありました。

が、

"畑の基本は「耕す」ことにあり！”

"畑土壌の基本は、あくまで「耕す」ことにある。”

と結んでありました。

発行は2015年でした。

"ミミズの糞はまさに黄金の土である、人類文明を支えてきた根源資源は、「豊かな農地土壌」であり、農地を豊かにし続けてきたのは、「土壌微生物生態系」以外にないと確信するに至った”

等、書かれていますが。

土壌微生物の素晴らしさも語っておられますが、人間とは（ご自分とは）全く違う別の生きもの（生命体）たちという観点でした。

（でもこれが一般的な感覚なのでしょうね）

新たな知見を得られるのではないかと、

NHK BSで放送されている、シリーズ『ヒューマニエンス　40億年のたくらみ』の

「"土”生命の星の小宇宙」の再放送を録画していたものを先日観ました。

「土」は地球以外では見つかっておらず、地球の特産物であることや、いまホットな不耕起農業も紹介されていました。

（福島のミミズの先生と、その農業の様子が紹介されていました）

出演されていた方の中で、佐賀大学名誉教授の染谷孝（そめやたかし）さんのお話に興味を引かれるところがあり、検索して著書を購入して読みました↓

～人間や植物の生育を助け、病気を引き起こし、巨大洞窟を作り、有毒物質を分解する。

光のない海底で暮らしていたり、土の中の微生物の働きや研究史、病原性から利用法まで、身近なのに意外と知らない、土壌微生物のすべてがわかる本。～

裏表紙には可愛い微生物たち。

～土壌は「無機物と有機物と生物からなり、植物の生育を物理的にも栄養的にも支えることのできる地表の自然物」と定義される。

火星や月の表面の「土砂」は有機物も生命も存在しないので土壌ではない。

地球はまさに「土の惑星」であるからこそ、生命を育むことができる星なのである。

この半世紀、地球全体で砂漠化が急速に進んでいる、これは収奪的な農業や牧畜のせいで土が痩せてしまったから。

今こそ土壌の再生が必要であり、それには土に棲む微生物への深い理解が欠かせない。

同じ土で同じ作物を何作も繰り返し栽培していると必ず連作障害という現象が起きる。

これは植物病原菌の蔓延か微量養分の欠乏によって起きるもの。

ところが弥生時代から何千年も毎年単一作物を連作しているのに、ほとんど病気が出ない農地があるーそれが水田である。

田面水として供給される水に微量養分が含まれていることと、土壌伝染性の病害がほとんど発生しないから（水を入れる季節と落とす季節があることから）。

また水田は食料生産の場となるだけではなく、土砂流亡や洪水を防ぎ国土保全に大きく貢献しており、癒しの空間も提供してくれる。

このように重要な水田で何千年間も持続的な農業が可能だった秘密は微生物の生態にあったのだ。～

～地球深部探査船「ちきゅう」が2006年以降に調査航海を開始、地殻内の微生物世界（地殻生物圏）の概要もわかってきた。地殻内の微生物の存在量は約5000億トンと推定されていて、地上の動植物の生物量（約6000億トン）にほぼ匹敵するだろうと考えられている。

まさに地底には知られざる一大生物世界が存在している。～

そして本のさいごの方で、新たな問いがありました。

～イオウ酸化細菌の栄養源は硫化水素や硝酸イオン、二酸化炭素などですから、原始の地球にも存在した物質ばかりです。（中略）つまり、現在温泉などで見るイオウ酸化細菌は原始生命の直系の子孫かもしれないのです。まさに熱水鉱床が生命発祥の場ではないかと考える研究者も増えてきました。

そもそも、地球の生命はすべてまったく同じ基本設計でできています。まず炭素骨格による有機物でできています。炭素は他の元素と結合するための腕を四本持っているため複雑な分子構造を作るのに便利な元素です。しかし珪素でも腕は四本あるので、ケイ素骨格でもよかったはずです。そうしたら岩のような硬い生物になるでしょうね。

また遺伝情報はDNAという高分子の分子構造内に込められていますが、DNAはアデニン（Ａ）、チミン（Ｔ）、グアニン（Ｇ）、シトシン（Ｃ）という四種類の物質で作られていて、これらの物質は大腸菌から人間までまったく同じです。

さらに、生体のタンパク質を構成するアミノ酸は約20種類ありますが、どれもＬ型です。化学合成すると同じ化学式を持つアミノ酸でも、Ｄ型とＬ型という二種類ができます。これはちょうど右手と左手の関係と同じで、化学組成は同じでも立体構造が違うのです。しかしなぜかすべての生物にはＬ型しかありません（ごく一部の分子にはD型が使われていますが）。

このように考えると、地球の生物はすべて同じ一つの始原の生命（微生物）から派生して進化・分化して今日見る多様な生物の姿になったとしか考えられません。

地球ができたのは約46億年前ですが、生命が存在可能な温度域にまで冷えてきて海が安定して存在するようになったのは44億年前でした。約２億年かかったわけです。そして最初の生命が生まれたのが約38億年前です。そうすると、たかだか約６億年で生命が発生したことになります。

この時間は長いでしょうか、短いでしょうか？ヒトのような高等生物とほぼ同じ精密な仕組みを持つ生物が、偶然の積み重ねでできあがるのには６億年という時間は十分だったのでしょうか。

６億年で生命ができるなら、最初の生命が地球に出現して38億年経過していますから、その間に何回も新たな生物が発生していてもおかしくありません。遺伝子がＡ、Ｔ、Ｇ、Ｃとは違う物質でできている生物や、Ｄ型アミノ酸を持つ生物、ケイ素骨格を持つ生物が生まれてもいいはずです。

しかしそのような形跡はどこにもありません。それでは、38億年の年月をかけても生命は無生物から生まれないということなのでしょうか？

（中略）

木星の衛星のエウロパなどで地球型の微生物が発見されたら、生命の発生は頻繁に起きるものではなく、宇宙のどこかでごくまれに生命誕生があって、それが宇宙に広がったという学説（パンスパーミア説）を支持します。しかし、地球型生物とは根本的に作りが違っていたら、生命の誕生は条件さえ合えばどの星でも数億年程度で可能だということになります。～

（赤字等はわたしがつけたものです）

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去年の桜の頃に行った、大阪府高槻市にある

「生命誌研究館」で買ってきていた絵葉書です。

【生命誌絵巻】

扇の要は、地球上に生命体が誕生したとされる38億年前です。

以来、多様な生物が生まれ、扇の縁、つまり現在のような豊かな生物界になりました。

多細胞生物の登場、長い海中生活の後の上陸と種の爆発など、生物の歴史物語が読み取れます。

【生命誌マンダラ】

生命誌マンダラの中央に位置する受精卵は自己創出能を持ち、第５層までは時間と共に細胞を分化させ組織や器官をつくる発生の階層を示しています。

そして第６層では、多様な個体が集まって種をつくり、生態系をつくることを示しました。

受精卵に存在したゲノムは、細胞、組織、器官、個体、そして種というすべての階層で適切にはたらき、すべての階層を貫いているのです。

さらに第７層には、化石として残された絶滅した生きものを描き、ここから内へ向かってマンダラを眺めると、中心の細胞が原始細胞となり、38億年の歴史が階層を生み出してきた姿も見えてきます。

絵の中心の円から順に、

第１層：ゲノムを持つ細胞（受精卵）、原始細胞

第２層：細胞内小器官

第３層：分化した細胞

第４層：組織

第５層：器官

第６層：個体

第７層：個体（化石）

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【生命の起源】についてウイキペディアより抜粋。

生物が実際に（もう一度、無機物質から）発生するところは、（日々自然現象が膨大に起きており、自然を観察している人類も膨大な数がいるのにも関わらず）今まで一度も自然界で観察されたことなく、また化学進化説が唱えられて以降、実験室でそれを再現しようと非常に多くの科学者によって、実験室で太古の地上や海中の環境を想定した条件をととのえて、ほとんど無数の実験が行われたのにも関わらず、「無機物から生命体と呼べるものが誕生するプロセス」は再現されていない。

同じく、ｗebちくまより。

生命誕生前の原始地球において、何の命令も持たず、増えて遺伝する能力だけを持った物質が出現したと考えられています。ひとたびそのような物質が出現しただけで、ロボットのように様々な能力を生み出し、私達が現在目にする生物へ進化したと想像されています。

ただ、この物理現象は、地球上で一度しか起きていないとされる極めて珍しい現象です。

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◇扇の要＝地球最初の始原の生命（微生物）はどうやって生まれたのでしょうか。

◆なぜ全く違う新たな生物は誕生しなかったのでしょうか。