赤血球は骨髄で造られるが、そのとき必要なものは鉄とエリスロポエチン(EPO)である。
赤血球は肺から酸素を取り込んで、全身の細胞に酸素を運ぶ役割をしている。実際に酸素を取り込んでいるのが、赤血球中のヘモグロビンというたんぱく質で鉄を含んでいる。
だから、鉄が不足するとヘモグロビンが減少し、赤血球も少なくなる。これが、鉄欠乏性貧血である。
一方、透析患者は、腎臓が廃絶しているので、腎臓から産生されるエリスロポエチンというホルモンが減少し、その結果、骨髄での赤血球の産生が低下して貧血となる。これが腎性貧血である。
透析患者の貧血治療は、エリスロポエチンの注射と鉄剤の補充が一般的である。
うちのクリニックでは、毎週月曜日の透析終了時にネスプのバイオセイムである『ダルべポエチン アルファ注シリンジ KKF』を透析回路から静注する。(KKFは、協和キリンフロンティアの略。)
余談であるが、ESA製剤を静注するときに、ナースさんは『ネスプ』『貧血のお薬』『ダルべポエチン』と3つの言い方に分かれる。
自分の場合は、大腸癌で大腸を亜全摘(直腸の一部を残した)したので、ペンタサ座剤を使用している。
このペンタサの副作用で葉酸欠乏性貧血が起こるようである。
この葉酸欠乏性貧血かどうかを調べるのが、MCVである。
MCVは、Mean Corpusucular Volumeの略で、平均赤血球容積と訳す。要するに、赤血球の大きさのことである。
MCVの基準値は80〜100flで、数値が大きい場合が大球性で、小さい場合が小球性と呼ばれる。
大球性貧血の場合、ビタミン16欠乏と葉酸欠乏が疑われる。
水曜日の回診番だったヘパ子ナースさんに、貧血が進んでダルべポエチンが増量になったけど、MCVが110flを超えてて葉酸欠乏かもしれないので、葉酸の値を測ってもらうようお願いしたら、急きょ測定することになった。
本来なら、この辺りのことはプライマリーナース(受け持ちナース)さんが、ちゃんと見てくれてるといいんだけどね。
MCVの基準値は80〜100flだけど、自分の場合は、大腸亜全摘してから常に100flを超えてるので、110flが上限だと思っている。
ここ1年間のヘモグロビンとMCVのグラフはこんな感じ。
ヘモグロビンの低下とMCVの増加が見事にリンクしているように見える。
葉酸の結果は、どうだったかなぁ?