かたくなに前衛的。   -346ページ目

2/21~22(満月×彷徨い、のちオナモミ)

 リング・リング・リング・リング・リング!

リング・リング・リング・リング!

一昨日、会社から帰るとたてつづけの電話のベル。
時計の針は21時過ぎを指している。
へぇ、携帯電話ぢゃあるまいし珍しい時間にイエデンがよく鳴るなぁーなんて吞気発言を独り、ボソリとやっていたのだけれど、
続いてドアがバタム・バタムと激しく開閉する音に尋常ぢゃない空気。
少々心配になって急いでリビングに行くと、
母が色素の無くなった顔で
「車、出してもらっていい?」と。

厚着のし過ぎで動きが鈍いのか?
それとも慌て過ぎてなのか、上手く靴が履けない様子。
そうこうしているうちに父もやはり厚着のし過ぎで一回り大きくなった状態で現れた。
いつも被っている赤い毛糸のニット帽ではなく黒色ニット帽をのせている。





なんとなくこういう時は普段使わない脳が敏感に反応するもので…
「おばあちゃん?」
と母に問うと「そうなのよ」と。
まだ詳細は分からないのに、母のそのすでに疲労感に侵食された顔つきから凡その状況は把握できた。
急いで部屋にもどり、
クローゼットから引っぱり出した一番厚手の群青色のコートを羽織り、
手袋にマフラーに…
運転する車の中で事の詳細を話し始めた母。
そう、予想していた通り…
思い出す昨年。






「おばあちゃんが帰ってこないのよ…」
と母方の祖母と同居している伯母さんから電話があったのは昨年の春。
90歳を目前に控えている祖母は昨年から認知症がひどくなってきていて、日中にフラリと居なくなることが幾度かあった。
時間、日付、場所の感覚が不確かになったり些細なことで怒りっぽくなったりと明らかな兆候があったらしいのです。
それでも夕方には帰ってきていた祖母が二日間も家を空けたのが昨年の秋。
日に日にひどくなっていた認知症。
しかし、わたしや姉が祖母を訪れると顔も名前も認識できる範囲ではあった。
その祖母がまたフラリとどこかへ行ってしまったらしく伯母が困っているとの事。
昨年の秋、警察に捜索願いを出して近所の方々へも迷惑をかけてしまい、やっと祖母は帰ってきたのですが今回も警察に連絡をするかどうか決め兼ねているとのこと。
取りあえず身内で探そうと冬空の下、まん丸お月の明かりの下で心当たりを探したり、探したり、探したり、探したり…。
ちょうどお休みだった昨日も一日かけて探して、探して、探して、探して…。
結局、やはり近所の方々が一緒になって探して下さり昨日の夕方には家に帰ってきた祖母。
泥だらけの足には靴も履いておらず、
わたしが小学生の頃、悪戯に友達の服に付けて遊んでいた“オナモミ”を服にたくさん付けて。
祖母は興奮していて言葉にならない声を何やら発していた。






泣きましたね。
無事に帰ってきた喜びなどではなく、
認知症に侵された祖母の姿が見ていられなくて…
これからも世話をしていく伯父、伯母の苦労を考えると何か出来ることはないかと考える。
我が家からそう遠くはない母の実家、
しばらくは様子を見てお休みはそれぞれが祖母を訪れるようにしようと家族会議で決めた。



とても、
とても、
とても、
とても、
とても心配した二日間でした。
こんなに心を揉んだのはいつぶりだったろう。



当の祖母はまったくケロっとしているのにさ…(涙)