“今年はボーナスたくさん貰えるといいなぁ。出世も考えられなし、ここ最近、給料も上がる雰囲気もないからなぁ”




僕は仕事帰りの電車の中、たまたま座れた席で携帯端末の画面を見ながらいろいろ考えていた。というより、ほとんどただの愚痴だった。




周囲の乗客を見回してみた。いつもはこんなことはしないのだが、なぜか今日はいつもと違う行動を取ってみた。そして、なんだか急に不安になってきた。これと言った理由は見当たらなかったが、多分、本能というやつなのだろう。




自分の目線を手元のディスプレイに戻すと、ある広告に目が留まった。そこには“簡単な調査アルバイト募集”と書いてある。気になって詳しく見てみると、結構な高収入だった。いかがわしいなと思いつつ、どんな内容なのか、その気はなかったが好奇心で読んで見た。




読んでみると、心理テストのようなものらしい。“なんで、心理テストなのに高収入なんだ?”拘束時間も思っていたほど長くないし。




僕は家に帰って、風呂から上がり、冷蔵庫からよく冷えたジーマ(ガラス瓶)を取り出して飲んだ。帰りに見た高収入アルバイトがやはり気になったので、もう一度見てみた。




“なんだこれよく見たら××グループのじゃないか”




××グループとは誰もが知る巨大一流企業のグループである。信頼度も高く、どこの会社にもいろいろな不祥事があるが、このグループに関して今まで、そんな話は聞いたことがなかった。それくらい、クリーンな会社グループであった。




アルバイトの日にちは全部、どれも土曜日だった。

一日で終わるし、問題ないだろう。




僕は早速、明日にでも連絡をしてみようと思った。




連絡先の電話番号をメモし終えると、僕はジーマを一気に飲み干した。




翌日になり、僕は昼休み中、職場近くの公園で電話をかけてみた。


通話先の女性に応募するために必要な事務的なことを聞き終わると僕は電話を切った。




家に帰り、今日の昼に聞いた通りにWEB上でこのアルバイトに僕は応募してみた。


“一体、どんな心理テストなんだ?”少し楽しみでもあった。