いつものように朝目覚めた。時計は8時を過ぎていた。会社は自転車で15分足らずの場所にあるので時間的に問題はなかった。僕は何の疑いもなく朝の支度をし、昨日の夕飯で残った野菜をレンジで温め直し、取り出した後、バーニャカウダソースを付けて食べた。それと、ブルーベリージャムを塗ったトーストに生ハムをのっけて食べてみた。初の試みにしてはそんなに悪くはない味だった。




僕は朝テレビを見ない。というよりも、ほとんどテレビは見ない。なぜだかわからないが見なくなっていたのだ。ただ、NHKの毎晩やっているニュースなんかは学生時代からの習慣で副音声(英語)で見ている。自分の好きなお笑い番組は週末まとめてネットで見ているから結局、ほとんどテレビは見ていないのだ。




自宅のマンションから一歩外へ出て自転車に乗り、職場へと向かった。異変にはすぐに気が付いた。“誰もいない”外には僕以外、人がいなかったのだ。





誰かに電話しても誰も出ない。




気になって自宅に戻り、テレビを付けても何も映らない。



それから、何日か過ぎ、今日も人は見当たらなかった。そして、また、普段より早く眠りについた。




食料などはお店にある。初め、僕はきちんとお金を置いて、その都度、食べ物などの商品をもらっていた。しかし、この生活が予想以上に長引き、2週間以上経ってから、僕はいちいちお金を払うのを止めた。




3週間が経過した。そして、やっと人がいる気配を感じた。というより、完全に僕以外にいると確信できることが起こった。




いつも、僕が食料をもらっているスーパーの中がきれいになっていたのだ。僕はすぐに悪くなる生ものなんかをおおざっぱに片付けていた程度だったのだが、見事にそれより店内がきれいになっていたのである。“一体、誰がこんなことを”僕は不思議で仕方なかった。




誰がいるのか突き止めようと僕はこっそりそのスーパーに忍び寄り、隠れて監視していた。監視して何日か経ったとき、誰かがごそごそ動いているのがわかった。




よく目を凝らして見てみると若い女の子だった。