僕はすぐにでも声をかけたい気持ちになったが、もう少し様子を見てからすることにした。やはり、彼女はせっせと店内をきれいにしているようであった。




僕は車で他の場所を散策し、街の様子を定期的に観察していたのだが、食料を扱うお店がどれも思っている程、汚くなっていないのだ。というより、近所のスーパーのように明らかに人が清掃している痕跡があるのだ。




街は生きている・・。


存在感はまるでないがかなりの人間がまだ残っているんじゃないかという気がしてきた。




そもそもなぜ、僕らだけがこの街にいるんだ?というよりも、取り残されたと言ったほうが直感的に正しい言い方かもしれない。“置き去りにされた・・”“でも、一体誰に?”




僕はどうしても気になり、地元のスーパーに時々現れる女の子に話しかけてみることにした。




初め、女の子は驚いていたがすぐに落ち着き払って今までのいきさつを話してくれた。彼女が言うには都内の大学に通う学生であるとのことだった。




彼女が言うには僕ら以外にも同じような“仲間”がいるらしい。


近いうち彼らにも会うことになった。





“それにしても、やっぱり人はいたんだなぁ。”


僕は奇妙な気分になった。本来であれば一生会うこともないような人たちであることには間違いない。




しばらく経って、再び例の“女の子”と会った。彼女を車に乗せ、僕らはその“仲間”たちのところへ向かった。




車を運転しながら僕は“彼女”からいろいろな話を聞かせてもらった。大学生ではあるがほとんど大学には行ってないらしい。受験勉強を頑張ったはいいがそれからというものはやる気を失せてしまったらしい。学校へ行く代わりに色々なアルバイトをして好きなことをして暮らことにすっかり慣れてしまったと彼女は話してくれた。実質的には、フリーターってやつか。