球がパッティンググリーン上にあるの意味 (規則13.1a)

2024年2月9日

 

 球がコースエリアとしてのパッティンググリーンにあるだけではなく,規則13.1aが規定する球がパッティンググリーン上にある場合について検討します。

 

1 13.1aの1段目は,「球の一部がパッティンググリーンに触れている」場合,球はパッティンググリーン上にあるというのはよく分かります。例えば,桑や泰山木のように大きな葉の上に球が乗った場合,それがパッティンググリーンの真ん中にあったとしても,球の一部すらパッティンググリーンに接触していませんからパッティンググリーン上の球ではありません。

  13.1aの2段目の「・球の一部がパッティンググリーンの縁の内側にあって物(例えば,ルースインペディメントや障害物)の上や中にある」との規定については,「球はパッティンググリーン上にあるか(規則13.1aの第2項批判)」と題して批判しました。

 

2 今回は,13.1aの1段目,同2段目は,どのような規定にしたらより理解しやすいのか検討してみます。

  私は,13.1aの規定は,インプレーの球を拾い上げることができるか否か,すなわち,13.1bの「パッティンググリーン上の球は拾い上げてふくことができる」の適用を受けられる条件を規定したものと理解しています。

  ルースインペディメントは障害物と異なり球がルースインペディメントの上に乗っていた場合,球が動いてしまう,あるいはライの改善となるので,パッティンググリーンを含め,全てのコースエリアで罰打なしに拾い上げることはできません。13.1aの1段目が言うところの,「・球の一部パッティンググリーンに触れている」場合に該当しないからです。例えば,桑の葉のような大きな葉の上に球が乗った場合,球がパッティンググリーンの真ん中にあったとしても球とパッティンググリーンの間に桑の葉が挟まった状態では「・球の一部がパッティンググリーンに触れている」場合に該当しませんから,球を拾い上げることができず桑の葉の上にある球をそのままパッティングストロークをすることになります。

   それを救済するのが,13.1aの2段目に,「・球の一部がパッティンググリーンの縁の内側にあって物(例えば,ルースインペディメントや障害物)の上や中にある」との規定ではないでしょうか。この規定がなくては,球がパッティンググリーンの真ん中にあったとしても,ルースインペディメントである桑の葉の上にある球を拾い上げることはできません。もちろん,障害物であるタオルやルースインペディメントである桑の葉の上にある球をそのままストロークできることは言うまでもありません。

 

3  球が,ルースインペディメントの上に乗った場合,罰なしの救済方法はないのです。そうであるなら,ゴルフ規則13.1aの1段目,同2段目は,次のとおり規定すべきではないでしょうか。

 

   規則13.1a   球がパッティンググリーン上にある場合

   次の場合,球はパッティンググリーン上にある

   ・球の一部が,パッティンググリーンに触れている。

   ・球の全部もしくは一部がパッティンググリーンの縁の内側にあって,ルースインペディメントの上や中にある。

 

   下線部分について検討すると,

   球の全部としたのは,「球の一部が」との規定では,球の全部は含まない概念であると言った教条的な理解をする可能性があるから敢えて規定したものです。一段目の「球の一部がパッティンググリーンに触れている。」というのは平面に球体が触れているのですから,球の一部というのは当然です。二段目は,球がどこに触れているかではなく,球全体がパッティンググリーンとジェネラルエリアであるフリンジの間にあり,且つその球がルースインペディメントの上にある場合のことを規定しているのではないでしょうか。ですから,球全体がパッティンググリーンにある場合もこの規則が適用にならないとパッティンググリーン上の球になりませんから球の拾い上げが出来ません。

   ルースインペディメントの上や中とし,「障害物」を排除したのは,動かせる障害物は,規則15.2a⑶に球を拾い上げる根拠が規定されています。すなわち,障害物の上に球があるなら,球がパッティングエリアにあろうが,ジェネラルエリアにあろうが,その両方に掛かっていようが,球を拾い上げることができます。規則13.1aで動かせる障害物をルースインペディメントと同様に扱うのは,その根拠を曖昧にするだけでなく,誤りと考えます。

 

4 ついでながら,13.1aの2段目に従って,拾い上げた球をどう処理するかは別問題です。私は桑の葉の上から拾い上げた球の真下がフリンジであるなら,規則15.2a⑶の球が動かせる障害物の中や上にある場合の処置を準用してドロップをすべきと思います。また,桑の葉の上から拾い上げた球の真下がパッティンググリーンの縁の内側であるなら,パッティンググリーン上にプレースすべきと解釈します。

  桑の葉に乗っている球を一度パッティンググリーン上の球であると看做したのに,桑の葉に乗っている球の真下がフリンジの場合フリンジにドロップしなさいと言うのはおかしいとも思います。しかし,13.1aの2段目の規定は,球を拾い上げることを認めたにすぎず,パッティンググリーン上にプレースして良いとすることまでは認めていないと解釈します。すなわち動かせる障害物の規則15.2a⑶と同じように,球が止まっていた場所の真下と推定する箇所がフリンジならそこにドロップすべきと思います。

                          以上

 

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