今回は会社の名前でもある「モデレーション」という言葉についてお話させていただきます。
会社名「Moderation(モデレーション)」は、日本語で『中庸(ちゅうよう)』意味は「行き過ぎることもなく及ばないこともない偏りのないこと」と訳される言葉です。この言葉を社名にした理由は、私の大学時代にさかのぼります。
大学時代、中国語の講義で、孔子について学ぶ機会がありました。そこで知ったのが『中庸(ちゅうよう)』という言葉。これは孔子が最高の徳として説いた言葉です。大学生だった私はこの言葉の意味に非常に魅力を感じ、中国語はほとんど話せないのに「孔子の墓に行ってみたい」と思い立ち、現金10万円だけを握りしめて中国へ向かいました。
待っていたのは数々の困難と出会いの連続でした。空港に到着するとまずホテルへ向かうためタクシーに乗りました。航空券を買って残金は3万円。早速、海外の洗礼を受けることに。空港からホテルまでそう遠くはなかったにも関わらず多額のタクシー代を請求されたのです。そうです。ぼったくりです。そんなことがありながらも一先ずホテルへと到着。
しかし、予約したはずの僕の部屋はありませんでした。仕方ないので、どの部屋でもいいので泊めてほしいと習いたての中国語とジェスチャーで伝えましたが、全く伝わりません。それどころか、ホテルのスタッフは理由はわかりませんがすごく怒っていました。どうしたらいいのか途方に暮れていた時、ふと、ある事を思い出しました。
日本へ発つ前に中国語の先生に中国へ行くことを伝えました。しかし、ほとんど中国語が話せなかったので、猛反対されました。そこで孔子への想いを先生に伝えると、彼女は1枚の紙に番号を書き始めました。「もし困ったことがあれば、ここに電話をすればきっと助けてくれる。」っと言ってその紙を私にくれました。
「あの時の紙!!」私は慌ててその紙を取り出し、近くにあった電話のボタンを夢中になって押しました。電話のコール音は何回なったでしょうか。何時間も鳴らし続けて、ようやく繋がり、日本語で事情を話し助けを求めました。電話の相手は女性でした。彼女からホテルのスタッフに電話を変わるように言われ、しばらくしてからまた、ホテルの人に電話を渡されました。
電話の女性から、「ここは宿泊費は前金で支払ってください。そして、あなたの事情はお話ししました。何かあれがまた連絡ください。」と片言の日本語で言われました。ようやく案内された部屋には片手のない日本人が座っていました。部屋はドミトリーでしたが、彼が日本人ということで安心感で一杯でした。彼は一人で旅をしていて、たまたまこの地に立ち寄ったそうです。
私は、変な緊張感から解放され、そのまま眠ってしまいました。
次の日、朝起きると彼はすでに出発していました。
私も身支度を済ませ、孔子のお墓へと向かいたいのですが、場所がわからないのでホテルのスタッフに聞きたくても言葉がわかりません。
すると、ホテルのスタッフの一人がタクシーを呼んでくれて、荷物を運んでくれたのです。
私は訳が分からないまま、後ろを振り返ると、ホテルのスタッフが全員で見送りをしてくれ
中国語で何を言っているのかわかりませんでしたが、今思えば“孔子お墓に行く”という私の無謀な旅を応援してくれていたのだと思います。彼らに見送られて、孔子のお墓へと向かいました。
十時間以上もボロボロのバスに揺られて、ようやくたどり着くことが出来ました。
そこは、携帯の電波も届かないような山の中でした。
たくさんの写真を撮り、孔子はどんな人生を歩いていたのかを考え、浸りました。
しばらくすると街行きのバスが戻ってきたので、私はそのバスに乗りもと来た道を帰りました。
この旅では10日中国に滞在しました。
最後の日私は最初に泊まったホテルに向かいました。
到着すると、ホテルのスタッフは私の顔を見るなり涙ぐんで出迎えてくれました。
私は通じない日本語で孔子のお墓までの道のりや、ここへ帰ってこれた感謝の言葉をホテルのスタッフたちへ伝えました。
言葉は通じなくても心は通じたと感じた瞬間でした。
あの時の感動は今でも忘れていません。
私のチャレンジ精神はここから始まったのかもしれません。
孔子のルーツを肌で感じたことにより、私にとって中庸という言葉がさらに魅力的なものになりました。
Moderationの日本語訳のひとつにこの『中庸』があることから、社名に掲げました。これは私自身がこうありたいという象徴であり、私が育成したい人材でもあるからです。多くの事柄に対して吸収力を持ちながらも、偏った考えをせず、何事にも臨機応変に対応できる人間。常に向上心をもち、成長できる人間。私はサッカー界において常に中庸の考えのもとで切磋琢磨していきたいと思っていますし、弊社スタッフはもちろん、サッカースクールの生徒達にもこの思いを伝えています。この思いが一人でも多くの人に伝わり、サッカーを通じてたくさんの人の心が豊かになるよう、尽力していきたいです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
次回は、私たちが続けている「サッカーボールをブラジルやアルゼンチンへ届ける取り組み」についてご紹介させていただきます。