金曜の夜その席は男の特等席。
いつも決まって一人でフラリと現れ店が閉まるまでただ黙って酒を傾けていた。
その前の金曜もその前の金曜もさらにその前の金曜もその前の金曜も
ただその前の金曜だけは違った。ラピュタが金曜ロードショーでやっていたからだ
男はラピュタが放映される時、まるで夏休み前のようにテンションが上がった
もう何度も見ているのにきまってエンディングでラピュタが天空に去って行くときは切なくなった
前の放映の時もその前の放映の時もさらにその前の放映の時も
そもそも男がその高くそびえるホテルのバーに足しげく通うのも
「ここからならもしやラピュタが見えるかもしれない」
という淡い期待を抱いてのことであった
しかし今宵もラピュタは見えない…男の顔は苦くなるばかりであった…
銀魂28巻 第二百四十三訓




