「多重人格って聞いた事あるかな?」
重い口調で質問された。




え?

あのドラマとかでよくあるアレ?





頭の中は一気にパニックだ。





「外を見てごらん。」


あれ?
さっきまで明るくなかったっけ?

てゆーか…さっきまではソファーに座ってたはずなのに、気付いたら椅子に座ってる…





本田先生はテレビを付けた。
そしてなにかのビデオを再生…



映ってるのはアタシ



アタシの知らないアタシ




笑顔のかけらもなく、冷たい感じだ…


“彼女”は『アイラ』と名乗り、年齢はアタシより5つも上だと言う…。




頭の中がぐちゃぐちゃになったままその日は帰宅した。


星にどう説明すればいいのやら…
この頃のアタシは、場所を問わずに寝ている…と思ってた。



毎週、月・水・金・土は星と会っていた。

ある土曜日…
「昨日、待ってたのに…風邪でもひいたの?」
笑いながら星が聞いてきた。




おかしい…
昨日の記憶がない…




月曜日…学校に行かず、朱菜に会いに行っていた病院に向かった。



誰に何と伝えればいいのかも解らない…
ただ…最近、自分の記憶がおかしい事しか分からなかった。



「どーしたの?」
振り返ると、精神科の本田先生がいた。

とりあえず内容を話す…



まさか通う事になるなんて…
「朱菜!!やめて!!



近くに居た犬を連れたオッチャンが朱菜の元に向かってくれた。





しかし手首からは血が…




そこからの記憶は曖昧だ。





気付いたら病院にいて、朱菜は亡くなっていた。




小学6年生にして目の前で友達が自殺を計らい、亡くなった。





その日を境にアタシの記憶が曖昧に…。





2週間程経った時、星に「昨日、声かけたのに気付かなかったの?」と聞かれたが、何の事かサッパリ分からない…
昨日は…家に帰って寝てしまって出かけていないはず…





この時から既にアタシは現実逃避していたんだ。