Sは少年野球に入団する小学4年生まで、週に1回の野球教室に通っていた。


 そこではルールというより、打つ投げる走るを楽しく教わっていた。試合での実戦や、野球の複雑なルールを覚えるためには野球教室ではなく少年団へ入団する必要があった。


 私はピアニスト兼ピアノ講師。高校や短大や自宅教室でピアノを教えている身。妻も自宅と幼稚園でピアノを教えている。野球とは全くの畑違いだ。入団するにはそれなりの勇気と覚悟がいる。


 しかしSは、大谷翔平や、王貞治、長嶋茂雄などのホームラン集を私と動画で見ているうちに、野球をやりたい、ホームランを打ちたいと言うようになった。


 ピアノはというと、教室の発表会やコンクールに出てはみたものの、小学2年生の時に早々に引退した。彼は全く環境にはなびかなかった。


 サッカーを習った時期もあったが、試合中にディフェンスだった彼は、ボールが来ない隙にバットを振る素振りの真似を何度もしていた(汗) これゃ本当に野球がやりたいんだなと思った。


 Sの身体能力は高かった。幼稚園から小、中と短距離走では常に学年1位。ジャンプ力も高かった。


 握力も小5の時に中1の平均より高かった。これはおそらく週2〜3回バッティングセンターで打ち込んだり、家で羽根打ちをしていた賜物だろう。握力だけでなく腕相撲でも同年代の子にほとんど負けた事がなかった。


 入団する前からバッティングの練習は嫌な顔をせず黙々と取り組んだ。それだけホームランが打ちたかったのだろう。コロナ禍、仕事も学校もない私達家族は、毎日のように公園でバッティング練習をしたものだ。



小1、サッカーの試合後
白い帽子をかぶっているのがS

小3、公園でバッティング練習

昨年(中1)、体育祭のリレー。
1番走者でぶっちぎりだった。




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