大好きな作品。オープニングのクローズアップによる口論→転倒の流れで完璧に心を掴まれる。酒店では交渉によってしか関われない人を描きつつ、サイドストーリーの赤ん坊誘拐描写まで流れるようにこなしてしまう。経験者を収め、未経験者を画面から外すことでさらりとインタビュー形式の構図を成立させてしまうのもすごい。
家族、職場、人と人の関係は密接であればあるほど厄介なもの。互いに影響を与え合い、ときには傷つけてしまうことも。主人公の二人も次第にぶつかり合う。それでもパトカーに乗せられたマシューを見送るときに眼鏡をつける、このバランス感覚!野暮ったくなるから、と眼鏡をかけずにいたマリアが彼から受けた影響が確かにそこに感じられる。「信頼(trust)」ってまさにこのことだと思う。見返してみると、看護師との会話がかなり重要。
「そばにいたから」の反復もすごく好き。
ラストシークエンスで流れる音楽は、劇中繰り返し違った形で流れる。だからとってつけた感はまるでなく、むしろ一種のカタルシスすら感じる。
ラストショット、青信号と空を背景に小さく、それでも転倒せずにたしかに佇むマリアの姿がとても印象的。
filmarksにレビューを残すのはどうも恥ずかしいので、ここに書いておきます。