ドアが開いて出てきた旦那さんは
いつものスエット、白いTシャツ、紺色のカーディガンを羽織っていた。

寝起きの顔は顔面蒼白で、頭が真っ白という感じに見えた。
旦那さんは、何も言わずにただ、腕を組んでドアの前に仁王立ちしている。

下を向いて考えるように、固まっている。


私は、怖くてその日は親友に付き添ってもらっていた。彼女が後ろで私を見守ってくれている、、。


私は黙っている旦那に
『もうわかっているから。部屋に居るんでしょ。とりあえず中で話そう』と、部屋に入ろうとしたら、、力づくで引っ張られた。

旦那さんはひたすら、
『絶対に中には入れない、いいから一階のロビーに行くぞ』と力づくで私を引きずった。

私はマンションの廊下を引きずられた。

親友に
『今よ!私の変わりに部屋に入って!』と叫んだ

その瞬間、旦那さんは慌てて部屋の前に仁王立ちになり、私達を部屋に入れないように阻止した。


そして一言、力強く言った
『絶対に彼女には会わせない』

と…

私は一瞬にして、旦那が彼女をかばっんだと思った。この期に及んで、旦那は彼女をかばった。

最低に最低が重なる。
最悪な旦那。

あんなに好きだったのに。
最悪。
ドキドキした。

朝6時。家の前にいる。


もしも、いま旦那さんが浮気相手と抱き合って眠っていたら。。。。

抱き合っていたら。。。
服は着ているのだろうか。腕枕をしているのだろうか。
眠っているのだろうか。。

相手の女性はどんな人なのだろうか。。
私を見たら、意地悪な顔をして旦那さんに抱きつくのだろうか。
そして私に別れてくれと迫るのだろうか。


旦那さんは驚くだろうか。旦那さんは私に謝るのだろうか。
旦那さんは浮気相手を選ぶのだろうか。


私は震えている。

武者震いなのか。。
寒いのか。。
怖いのか。。

そっと、鍵穴に鍵をいれて一気にドアを開ける。

そして大きな音をたててドアがひっかかた。


今まで一度も使ったことのないドアチェーンが、ドアにかけてある。

ドアが開かない。
やっぱり。。。。
やっぱり。。。。

インターフォンを二度鳴らした。

しばらく無言。

そして、インターフォンから旦那さんのけだるい声が聞こえた。


『なぁに…どぅしたの…』と、、
そして、私は忘れ物を取りに帰ってきたと伝えた。


ドアが開かないまま、少し時間が過ぎた。


10分程してドアが開いた。
何度も考えた。
旦那さんは今日に限っ私が居ないから家で一人ゆっくり出来ると思って早く帰ってきたのかもしれない。。

でも、クリスマスは浮気していた事実を私は知っている。。だからやっぱり浮気はしている。。

今もしも私達の家に二人が居て、何もなかったように幸せに過ごしていたら。抱き合っていたら。

そう考えると、もう現実を見て受け入れて終わりにしなくてはならない。。

やっぱりもう終わりに変わりはない。。

怒りと悲しみと虚しさが一気に込み上げてきて苦しくなった。

だから、行く事にした。

旦那さんと浮気相手がいるかもしれない自分の部屋に。私達の家に。。

真実を目で見て終わりにするために。朝方、行く事にした。