世界同時にiPhone OS 3.0がリリースされ、米国、英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スイスなどの国々では、すでに「iPhone 3GS」も発売された。そして日本でもいよいよ6月26日から販売が始まる。
【画像:他のアプリの紹介やWWDC 2009基調講演の様子】
インターネットではiPhone OS 3.0やiPhone 3GSの新機能の話題でもちきりだが、果たしてこの新OSと新ハードウェアの登場で、iPhoneを取り巻く状況はどのように変わっていくのだろうか。またはこれからどんなアプリケーションが出てくるのか。そのヒントは、まだあまり語られていないWWDC 2009の基調講演の後半に隠されている。ここではその講演の内容を細かく振り返ってみよう。
●iPhoneの成功を彩る開発者物語
WWDC 2009でiPhoneの説明を担当したのは、前年に続きスコット・フォースタール氏だ。同氏が「この1年はiPhoneにとってすばらしい1年だった」と振り返るように、2008年、アップルはiPhone OS 2.0用のアプリケーションを開発するためのSDKの配布を開始し、その反響は「驚異的」だった。SDKのダウンロード数は100万件に達し、その結果、現在App Storeには5万本のアプリケーションが登録されている。
フォースタール氏は、iPhone OS機器の顧客と開発者の両方に感謝の辞を述べた後、「我々は開発者達から驚くような話をたくさん聞いた。そのいくつかをみなさんと共有したい」と述べてビデオを上映した。このビデオは現在、アップルのWebサイト「Developing apps for iPhone」で見ることができる。
iPhone OS 3.0では、動画のストリーミング再生が可能になる。これによりMLB.comでも、iPhone上で野球の放送をリアルタイムに見られるようになるようだが、エバンス氏はその事実に大変興奮しているという。彼は今の子供たちが大人になってから、iPhoneで野球を見て育ったことを振り返り、あたかもそれが野球の楽しみの自然な一部のように語ってくれるのではないかと楽しみにしているという。
ムーア氏はiPhone OS 3.0の新機能では「Push Notification」に期待をしているという。この機能を使えば、患者に対して個別に、この兆候が出たら警告をしてほしいといった設定ができるようになるという。そしてiPhone SDKの登場が、開発者にとって開発という行為そのものを再び楽しいものにしてくれた、と歓迎の言葉を述べている。
そのギユモ氏もiPhone OS 3.0は高く評価している。同OSのSDK登場で、ゲームをほとんど制約を感じずに開発できるようになったという。このOSの登場でエンドユーザーも大きく前進し、もはや元には戻れなくなるだろう、と語っている。
●対応アプリケーション通して魅力を増すAPI機能
WWDC 2009の基調講演では、この後、iPhone OS 3.0の1つ1つの機能が詳細に説明されているが、これについては「iPhone OS 3.0ソフトウェアアップデート、配信開始」や「愛すべき賢くなったカーソル、新しい文字に触れるインタフェース──進化した入力環境」で詳しく取り上げているのでそちらを参照して欲しい。
一方、iPhone OS 3.0には、上記のようなすぐに試せる機能に加えて、対応アプリケーションを通して初めて恩恵を受けられる機能も多い。実際、iPhone OS 3.0のSDKには1000近いAPIが追加されている。ここではこうしたAPI機能を紹介をしよう。ついでに基調講演では紹介されなかったものも含め、これらのAPIを活用したアプリケーションの実例も見ていく。
6つ目は「Push Notification」、これはiPhoneの個々のアプリケーションにリアルタイムで通知を送る機能だ。実例として、スポーツの試合でチームに得点が入るとそれを音と文字で知らせてくれるというESPNのアプリケーションが紹介された。通知のタイプは文字情報、アイコン上に表示されるバッジ(数字など)、そしてカスタム警告音の3種類だ。ちなみに、すでにこのAPIを活用したアプリケーションとしては「Leaf Trombone」や「Star Defense」「Ubiquitious Entertainment with Quick Pigeon」「Mobile News Network with AP」「Airstrip OB」などがある。
iPhone OS 3.0 のSDKには、ほかにもiPodのライブラリから好みの曲を選んで再生できるiPodライブラリアクセスのAPIなど1000近いAPIがそろっている。
●iPhoneの未来を垣間見る注目のアプリケーション
ここでアップルは、すでにiPhone OS 3.0の機能を使って本格的な開発を行っている開発者を何人か紹介した。
もっとも、ソフトウェアだけを実装しても、実際に車の走行をしながらナビをしてもらうのには無理がある。そこでTom Tomでは、iPhone用の車載キット「Tom Tom CarKit」も発売する。フロントウィンドウやダッシュボードに吸着させ、iPhoneを固定するキットだが、さらにiPhone OS 3.0のアクセサリーサポート機能を使って、より精度の高いGPSの利用と、カーステレオのスピーカーを使った音声ガイド、ハンズフリー通話、さらには充電といった機能も提供する。
5社目はng moco:)。Next Generation Mobile Company(次世代モバイル企業)という意味の社名らしい。iPhone/iPod touch向けのゲーム販売をするために設立された会社で、Rolandoなど数々のヒットゲームを開発している。最高経営責任者のニール・ヤング(Neil Young)氏は「我々はiPhoneがゲーム業界に革命をもたらすと信じて創業した」と言って語り始め、同社の最新アプリケーション「Star Defense」を紹介した。
これは最近流行しているTower Defense系のゲームだが、星を舞台にしている点が特徴だ。単体のゲームとしても十分楽しめるが、iPhone OS 3.0の新機能であるIn App Purchaseを使って、わずか数ドルでプレイ時間百時間相当の追加ステージを購入できる。また、このゲームはもう1つ「Push to Play Challenge」というiPhone OS 3.0の新機能を採用している。これはインターネット経由でほかのプレーヤーと対戦するための機能だ。
「iPhone 3GSの“S”はスピードを指している」とシラー氏。外観は昨年の夏に出したiPhoneと同じだが、処理性能の向上によってまったく別の製品になっている。SMSのアプリケーションの起動は2.1倍、ゲームアプリのSim Cityの起動速度は2.4倍、メールに添付されたExcelの書類の表示は3.6倍高速、そしてJavaScriptやグラフィックスを多用したNew York TimesのWebサイトの表示は2.9倍高速といった具合だ。この比較は、高速なiPhone OS 3.0をインストール済みのiPhone 3Gとの比較したものだという。
SunSpider JavaScriptベンチマークの計測結果も、iPhone OS 2.2.1とiPhone OS 3.0の比較で3倍ほど速くなっていたものが、同じiPhone OS 3.0をiPhone 3GS上で使うとさらに3倍ほど速くなるという。どれくらい速いかは操作内容次第なのだが、シラー氏はおおよそ2倍の速度としたうえで、多くの処理はそれをはるかに上回る速度だ、とも付け加えた。
さらに、3Dゲームがより高いパフォーマンスを発揮できるように、OpenGL ES 2.0という3D技術にも標準で対応する。また、7.2MbpsのHSDPA通信もサポートする。このようにiPhone 3GSは非常に高速なマシンだが、それに加えていくつか新しい機能も搭載した。
または「Play songs by the Killers」のようにアーティスト名で曲を指定して再生したり、「Play playlist Workout」のように声でプレイリストを選択する、といったことも可能だ。また「What's playing?」と聞けば、現在、再生中の曲名とアーティスト名を教えてくれる。そして「Play more songs like this」と言えば、現在、iTunesのGenius機能を使って再生中の曲に最も似合う曲を自動的に再生してくれる。