12月の中旬、今年も残り少しで楽しいクリスマスが近づいたある朝


つおさん(主人)に

「なぁ俺もぉダメだ、、死にたいんだ、、

仕事にも行けない。全部何も考えられないんだ。

どぉしたらいい?


どぉしたらいいんだ、、、

会社に行くのが無理だ、、」


と揺さぶられ私は起きた。


本当に突然だった。


時刻は3時半頃


私も仕事があったからもう少し寝たかったけど。


これは緊急事態。


思考回路も回らぬまま


「よし、仕事は今日やすもう」


「どうやって休むの?急に休んだら嫌な態度取られる、、、今日休んでもまた明日がくる、、、俺もう怖いんだよ、、、仕事に行くのが、、」


「よし、年内休もう。上司に私が話ししてあげるよ」


「上司とお前が話なんてできるのか?

それに年内でどうにもならなかったら?

俺、、、もうダメだ、、消えたい」


「とりあえず、上司に話をするよ。いい感じに話をするからもぅ何も考えず休むことだけを考えて。

もう大丈夫だよ。」


本当に突然この日がやってきた。



なぜこんな事になったのか。


・年始に昇格し役職をいただける事への不安

・財布が別々だった事による経済負担

・家に帰っても妻が子供に手を取られ相手にされない


まぁこんなところだろうか。


仕事は高卒から13年辞めたことがない。

私達は入社して1年目で結婚して3年目で子供ができた。


まだ精神が未発達のまま

生活を守り、仕事を真面目に勤めながら

子育てをして生きてきた。


何かが壊れたのであろう。



私は上司と話をした。


突然の事で上司もびっくりしていて

今日はとりあえずゆっくりやすみなさいと。


「今日は、、、か。」


私は今日受診できる精神内科を市内全域で探した。


病院嫌いで中々病院には行ってくれないつおさんだけども、これから長期戦になる事を考えて受診を決意してもらった。


これから来るであろう長期戦。

ゆっくり休んでもらうには「うつ病」の診断が欲しかった。辞めるにしてもこの診断は必要だと思ったから。


つおさんは認めたくなかった。

自分がうつ病だということを。


でもね


見たこともないくらい憔悴して

取り乱してさ。


つおさんには


自分が「うつ病」と思う必要はないよ。

それにうつ病は弱いからなるんじゃない。

心が疲れているんだよ。

この見えない疲れを少しでも楽になるお手伝いをしてくれるのが精神内科なんだよ。

だから、一度受診して、話を聞いてもらおう。

今のつおさんは受診したという事実だけで、会社があなたは疲れていると言う証明になるんだよ。


と伝えた。

心無いままの反応だったけど、了承は得た。


子供達が起きてきてパパとママが休みだと言う事に

喜んでいた。


いつもの様にきゃっきゃとパパに寄りかかるが

反応はなく、パパもうダメだ。と大泣きする始末。


朝から子供達もびっくりしていたが

もともと弱い部分を知っている子供達は

一緒に泣いてくれて


「大丈夫、元気になったらまた遊ぼうね!」


と笑顔で2人は学校へ行った。


なんて優しい娘2人なんだろう。


残るは年長の息子。


まだまだ自分も構ってほしいお年頃。

パパの事も心配でたまらないけど、この時間はママとのお話タイムと言うこともあってお話しが止まらない。


だけど、つおさんは子供の話より俺の話を聞けと。


私は両方の話を一度に聞いた。

聞き逃す事なく、どちらの話も聞き親身に応えた。



病院ではとりあえず休暇を取りなさいと。


あっさり終わってしまった。


つおさんはその事で


「俺は場違いだったのでは?

ただ会社が嫌で駄々を捏ねた子供だと。弱い人間だと思われてないか。こんなにも俺は、、、悩んでいるのに。ただの弱い人間なのか」


と心を痛めていた。



「ちゃんと先生はあなたのことを見ていたよ。

年内は休みなさいって。そしてまた来週来なさいって。

本当に必要なさそうだったらそんなことも言わないし、また来なさいなんて言わないよ。

今日は睡眠薬と安定剤もいただけたし、これを飲んでゆっくり落ち着こう。」


すると今度は


「俺がこんな薬に頼らないといけない病気なのか?

どうなってしまうんだ俺は、、うつ病なのか?」


取り乱して泣き出した。


「心が疲れているんだよ。うつ病とか思う必要もない。薬は足りてないエネルギーを補うものだよきっと。

私は糖分とコーヒーがあればリラックスできるけど今のあなたじゃそれではリラックスできないよね。

有能な飴みたいなものだよ。少しでもリラックスできる時間を作るためにこうゆう薬があるの。

最近あなた仕事も忙しくて眠れていなかったでしょ?

今は薬の力を借りてまずはゆっくり寝てエネルギーを取り返そう!」


ずっと俯いて反応はないのだけども。


昼頃、もう一度上司と話をして年内休ませてもらあるよう話をした。

こちらは受診までしたんだ。休めないなんて言わせないよ。


でも理解ある上司だった。

この事は本社にも言わないでおいてくれるって。

だから昇格の話もまだ継続で構わないと。

この先辞退の可能性もある事も伝えた。


ゆっくり考えた上で決断してくれれば良いと。


本社のほうにはうつ病ではなく、他の理由で年内休まないといけないと言う事にしておいてくれるらしい。


つおさんが会社で大切にされているって事だよね。



さて。


この状態のパパを置いて仕事に行く事も

それに子供達も大変だと思う。


だってもうすぐクリスマス。


子供達はかなり浮かれている。

温度差の違いが家族みんなの負担になるだろう。


つおさんの実家は母は他界していないのだけど

父がいる。


とても息子が大好きな父だ。


末っ子長男だからね。


一度実家に帰って子供の事も生活も忘れて

甘えさせてもらったらどうかと提案したら

つおさんもそうしたいと。


義父に電話をした。

つおさんを年内面倒みてくれないかと。


すぐに迎えに行くと。


「安心しなさい、お父さんがつおさんの事いっぱい面倒見てあげるから。美味しいものをたくさん食べて、たくさん遊んで楽しんですごすから!」


呑みすぎないか心配だったが、、、

親子水入らずの時間を楽しんでもらおうとおもった。


実はこの親子、子供の頃は父が忙しく毎日帰ってくるものの顔を合わす事なく過ごしていたと。

父はまあ、大人だし息子の話は母からきいて知っていたんだろうけど、つおさんは知らない。


私もつおさんの事は高校1年から知っているけど

その頃から父の事はよく知らないと言っていた。


私達は高卒で就職し19で家を出て20歳で結婚した。


つおさんの父との交流がないままここまできた。


つおさんは父のいい姿しか知らない。


そして義父も息子のことを実はよく知らない。


こんな状態の時にあえてお願いしたのは


今まで息子との時間を作れなかった父は弱っている息子を甘えさせてあげれる機会を喜ぶだろうと。


今まで父に甘えられなかった分、今だったら思う存分甘えられるだろうと。



新しい刺激になるだろう。



とりあえず2週間ほど旅立つ事に。

といっても車で20分の場所だけど。

私達は鞄に手紙を忍ばせた。


家族みんなと約束をした。


・こちらからは連絡はしないと

子供達もスマホをもってるから連絡してはダメだよと

思い出すと負担になるでしょう。

・帰ってきたい時はいつでも帰っておいで

・こちらの事は私が考えてあるから悲観的にならないで

・いつでも大切に思っていると



そして彼は実家に帰った。


これで終わるとは思わない。

これから始まるであろう長期戦にむけて

私達家族は頑張らないといけない。


私は子供達の成長と心を守らないといけない。


私は大丈夫なのかって?


私は大丈夫。

実は私、特殊な性質を持ち合わせていて。


最強の心の持ち主なんですよ。