こうして、自分の気持ちについていけないまま、季節は廻り――――冬。

相変わらず芽美とは親友だったし、美咲ちゃんとも結構仲良くなってきたけど・・・。

卒業式以来、セリアとは連絡が取れなかった。

音信不通――――芽美の携帯でも、無理だって。

捺騎君に聞いても、分からないって言うし・・・。

「よし、決めた!」

「は?」

「私、芹田高校に行く!」

私のお弁当中の宣言に、芽美は一瞬ぽかーんとして・・・。

「ええっ!?」

「だって、セリアが心配だもん。私、行くね。」

芹田高校は、あまり部外者が入っちゃいけないような学校。

だから余計に、芽美は驚いたみたい。

「でも・・・それでセリアがいなかったらって思うと・・・怖い。」

「だいじょぶだいじょぶ。その時はその時だよ!」

私だって、実を言うとすっごく不安。

セリアは冷めてるとこはあったけど、人を心配させるような子じゃなかった。

セリアに、何かあったんじゃないかって・・・悪い予感だけが、胸をよぎっていく。

でも、何もしなかったら、一生セリアに会えないんじゃないかって思うの。

そんなのは嫌だ。

セリアも、大切な親友だもん。

「芽美、行こうよ。セリア、もしかしたら学校が大変なだけかも。」

「・・・うん、そうだね。ここでじっとしてても仕方ないしね。」

私たちは当然のごとく、部活には入ってない。

今更入れる部活っていうのがなくて・・・。

だから、放課後はたっぷりと時間がある。

みんなで、セリアを探しに行かなきゃ―――――・・・。


「捺騎君!」

「卯月、芽美!どうしたの?」

放課後、私と芽美は捺騎君のクラス、1-2に行く。

「あの、いきなりごめんね。今から、セリアを捜しに行こう!」

「セリア?・・・でも。」

捺騎君の言いたいことは、よく分かった。

芹田高校なんて・・・行きたくないよね。

あそこは、いい人もいるけど、ミッション系だから大体は外部の人間を煙たがる。

「・・・ごめんね、そだよね。じゃあ、芽美と2人で行くから。」

私は、捺騎君に背を向ける。

その時、私たちの話をずっと聞いてたっぽい恵太君が、捺騎君の後ろから出てきて言った。

「おいおい、捺騎~。お前、そんな男だったのか?見損なったよ。芹田に、こんなか弱い女の子2人で行かせるなんてさ。オレ、そのセリアって子知らねーけど・・・ついてくよ。親父の権力使えば、何もされねーだろ。」

親父の権力・・・。

その言葉に、どきりとする。

・・・でも今は、普通にいい人だし・・・。

何より、このことが芽美にバレたら、芽美は恵太君を軽蔑しかねない。

親の権力を振りかざして人を傷つける人が、芽美はどんな人よりも嫌いだから・・・。

「ありがと、恵太。恵太って意外といいやつだね。」

「何言ってんの、芽美の為だったらどこへでもついてくよ♪」

「・・・ちょっと感動して、損した。」

芽美と恵太君、すごく仲が良さそう。

この関係、壊したくない。

・・・平気、きっとだいじょぶ。

「じゃあ、お願いするね。」

私が言うと、ずっと黙ってた捺騎君が言った。

「恵太が行くなら、僕も行く。本当言うと・・・セリアが心配だし。」

え?

「本当!?良かった、捺騎君が一緒なら心強い・・・!」

その言葉に、捺騎君はちょっと照れたみたいに笑った。



私、これが後にみんなの関係を壊すことになるなんて、この時は思いもしなかった。

楽しくて、無邪気に笑い合ってた日々が、遠ざかっているなんて―――――。