大正温泉(高知県高岡郡四万十町)
高知出張の宿はもちろん温泉にしたい。第一候補だった柳瀬温泉は残念ながら振られたが、第二候補の「大正温泉」で二食付8500円で予約が取れた。実は以前、立ち寄ったがご主人が亡くなり、すでに廃業された後で、入れず終いだった湯だ。周囲の励ましもあり、女将さんが復活させたというニュースを宿探しの過程で知った。こういうのはきっと縁だろう。天気に恵まれない四万十川遡上だったが、清流のある懐かしい風景を堪能しながら、国道を離れ奥まったところにある「大正温泉」に到着した。建物は5年前と変わっておらず、田舎の一軒宿そのまんま。さっそくチェックインすると部屋は離れになるらしい。案内された別棟は駐車場スペースの奥に玄関があり、それが3つ並んでいる。見かけは全く違うがラブホテル建築によく観られるタイプ(笑)。中はワンルーム仕様でパイプベッドが置かれてあり、洋室というよりは田舎の病院かな。広さは十分だし、居心地は悪くない。立地上、川は駐車場の向こうだし、眺望は仕方がないだろう。さて、さっそく母屋に出向いて温泉だ。本日、宿泊客は私ひとり。でも浴場は近在の人が銭湯代わりに利用している。うまく時間を外し、一緒にはならなかったが。母屋も昭和レトロ調。食堂は多分、土地の人の宴会なんかも行われるのだろう。そこを通り抜け、裏に浴舎があった。浴室も7人ほどが浸かれるレトロな岩風呂。出窓風に青いタイル貼りの浴槽が設けられ、ココに生源泉が投入されていた。どちらの浴槽も蛇口を捻れば自由に湯を投入でき、もちろんその場合、完全放流式となる。源泉はpH8・3、泉温18度のナトリウム-炭酸水素塩泉。源泉も加熱湯も重曹系の強いマロマロが感じられる。思った以上にいい湯ではないか。夏には快適な生源泉風呂。これをめいっぱい楽しめるなんて、泊まって良かった。夕食にはもちろん、アユの塩焼きをはじめ、地のものが並び、贅沢に田舎の夜を楽しんだ。(MEMO)レポートは平成23年。(追記)平成29年12月頃から休業に入り、そのまま追憶物件になったようだ。レトロな風情はともかく、宿としても昔ながらの商人宿風。残せないのは仕方がなかったか。温泉の少ない高知では貴重な存在だった。第一候補に振られての縁に感謝