7月7日、待望の「グスコーブドリの伝記」のアニメ映画が公開されます。
このお話、言わずと知れた宮沢賢治原作の「グスコーブドリの伝記」の映画(アニメ化)です。
今から27年前の1985年、同じく宮沢賢治原作の「銀河鉄道の夜」がアニメ化され、話題となりました。
原案は、ますむらひろしのマンガ「銀河鉄道の夜」。登場人物を猫のキャラクターに仕立てた幻想的な画像の作品で、杉井ギサブロー監督、細野晴臣音楽の豪華スタッフによって制作された長編アニメーションでした。
当時、とても美しい色彩計画のアニメとして話題であったにもかかわらず、私は、映画館で見る事を奇しくも逃してしまった覚えがありますが、後でDVD作品を見て、とても好きな作品の一つになりました。
宮沢賢治の代表的な作品である「銀河鉄道の夜」は、童話でありながら、その文体は、センテンスが長く、豊富な形容詞や比喩表現がふんだんに使われており、非現実的で抽象的なイメージを抱かさせるもので、子供には少々読みにくいかもしれません。
しかし、アニメでは、原作のそのイメージがとても上手く表現されていて、「銀河鉄道の夜」が持つ、幻想的な、いわゆる「心象スケッチ」を顕在化した、素晴らしい作品であるといえるでしょう。
原作を読み込むとともに、その後、原案になったますむらひろしのマンガを買いあさったり、本編のDVDはもちろんのこと、サウンドトラック版CDを購入したりしていました。
映像と音楽の融合、これほど、映像にマッチングする音楽は、他にはないんじゃないか?と思えるほどの素晴らしい作品です。
さて、このたび公開される「グスコーブドリの伝記」は、この、「銀河鉄道の夜」を手がけたスタッフが、再度集結し、制作されたとあります。
完成まで約5年間を費やした作品らしく、観るのが楽しみです。
さて、「銀河鉄道の夜」では、テーマ曲も劇中のBGMも音楽全般を細野晴臣が手がけたものでした。
今回は、テーマ曲がなんと、小田和正の「生まれ来る子供たちのために」セルフカバー版。
オリジナルは、オフコース時代、1980年にシングル発売された曲です。
「グスコーブドリの伝記」のイメージも「生まれ来る子供たちのために」のイメージも昔からなじみのあるものどおしの作品で、これらが一つになる事が、私の中では、最初ピンと来なかった節がありますが、この曲のもつ強いメッセージと「グスコーブドリの伝記」のなかで描かれている想いが、実は良く合っている事に気付かされています。
去年の3月11日に発生した大震災以降の、同じ国に生きる私たちのあり方、復興への強い想いと覚悟、諸刃の刃をいくつも抱える、「多くの過ちをおかし、戻れなくなった」この国の行く末を考える上で、
「私たちはどう生きていくのか?」
「私たちにもやるべき事が、きっとまだなにかある。」
という、強いメッセージを放ってくれています。