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The 佐伊津

主に生まれ故郷の天草市佐伊津町に関する思い出話しなど。
Yahooブログから引っ越しました
数年振りに更新してみます

むかぁし、西法寺ぃおらいた寺男ん、坂瀬川ん鶴ぃ四十九日ん法事んあって泊りがけぇ行っとんなす御院主さめぇ使いぃ行かいたそうですたい。
 
西法寺から鶴まで、山道ん三里ばかりあるばって、早う出かけらいたけん日暮れにゃ戻らるばいて待っとらすばって、戻られんそうですもん。
 
ちいぃたぁ年じゃいけん、山ん中ぇで怪我したり、具合の悪うなってりしとりゃされんどうかい・・・て、寺んしもうう心配じゃったそうですたい。
 
役僧さんなっとおらっせば、寺男ば見つけぇやって良かばって、役僧さんも御院主様ん供して鶴ぃはってぇとらすし、坊守様も気が気じゃのうして、近所ん同行しば二、三人頼うで、寺男ば見つけげぇ行って貰わんばんと思うて、提灯つけて、あんねえさんと近所ん総代さんの家ぇ頼みげぇ行かすごとなったそうですたい。
 
山門のにきぃ来なしたりゃ、何じゃいろう太かもんの動くそうですもん。びっくりして声も出ぇでんおんなしたりゃ
 
「奥さま。わしで御座す。」て言わいたけん、坊守様も安心して
 
「おじぃなぁ、ああびっくりした。そけぇでなんしょるとなぁ、具合の悪うなかかなぁ」て言いなしたりゃ、おじぃの
 
「いんねぇ、どこもどうも御座っせん。鶴ぃ行って、おしぼうちょうば御馳走になって戻ろうてしたりゃ、あすこんかかさんの四十九日ん塩あん餅の太かとば『道々、噛み噛み行けなぁ』て、よんにゅうくれらしたとで御座す。せっかく道々かめて言わしたけん、おしぼうちょうで腹んふとかてぇ、ずうっと噛み噛み来やしたばって、こけぇ着(チ)いた時五つ残っとりやした。ほりから三つまで食いやしたばってん、まぁだ二つ残っとりやす。道々て言わしたてぇ、残(ノケ)ぇて寺ん中まで持ちこめば、鶴ん法事んところんかかさんに申し訳なかけん、ちぃっと腹ば減らけぇて、食うてしもうてから西法寺ん中ぇ入(ヘェ)って行こうどもうて、今一休みしとる所で御座す。」て言わいたそうですたい。
 
*ちいぃたぁ年じゃいけん→少しは年だから *なっとおらしたら→でもおられたら
*あんねえ→(お姉さん)女中さん、お手伝いさんなどを言った *何じゃいろう→何かしら *なぁ→なの *そけぇで→そこで *おしぼうちょう→手作りのうどん *あすこん→あそこの *よんにゅう→たくさん
*噛み噛み→食べ食べ *どもうて→と思って