The 佐伊津 -103ページ目

The 佐伊津

主に生まれ故郷の天草市佐伊津町に関する思い出話しなど。
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数年振りに更新してみます

むかぁし、西法寺ぃおもしろか寺男んおらいたそうですたい。御院主様ん鶴(苓北町)の、城河原(五和町)のんて行きなすときゃ、お供してちいて行きよらいたそうですたい。

晩ちいっと遅(オス)うなれば、えっとおとろっせぇしよらいて

「御院主様、こげん時ゃ刀もっとれば、えらい気強う御座すばって」て言わるけん、御院主様ん

「本当(ホント)ん刀は、武士じゃからんば差されんけん、木刀ば購うてくりゅうだん」て、木刀ば購うて貰うて、差してさるきよらいたそうですたい。

いつじゃいろう、鶴戻りん山ん中で、ばったり、だりじゃいろう出て来(コ)らいたそうですたい。ほうしたりゃ、寺男んびっくりして、木刀ばひき抜いて、うう声

「汝は生あるものか、生無きものか」て言わいたりゃ、びっくりして逃げてはってかいたそうですたい。

「生あるもの、生無きもの・・・。のう、こんたもなかなか学のあるのう。何でも知っとろのう」て言いなしたりゃ

「わしも、学ちゅうほどは御座っせんばって、ほんくれんこたぁ、知っとるとで御座す。」て、えらい喜(ヨ)りくうで、暇んときゃ木刀ば一生懸命磨きよらいたそうですたい。

何時じゃいろう、晩飯んとき、御院主様ん

「えらいきつかどぉばって、明日鎮道寺(苓北町)まで言って貰おうごたるとん、良かどかのう」て尋ねらしたりゃ

「へい、良かどころじゃ御座っせん。なるだけ早ういて、早う戻って来やっしゅう」て言わいたそうですたい。

なんさま、ほん頃ん坊守さまぁ鎮道寺から来とんなしたけん、ちょいちょい用事の出来ても、たいげぇ約僧さんの行きよらしたけん、寺男は初めて行かるとじゃったそうですたい。

あくる朝、女(オナ)ごしん早う起けて寺男んおじぃん部屋ぇ行てみたりゃ、寺男んおじぃん寝床は蛻(モヌケ)ん殻(カレ)ぇで、もうおられんじゃったそうですたい。

日暮れに、寺男ん

「鎮道寺ぃ、行ってきやした」て戻って来らいたけん、御院主様ん

「ほう、行って来てくれたのう。鎮道寺じゃ皆元気ぃしとったろうかのう」て聞かいたりゃ

「へい、そうよう達しょうしとんなしたとで御座す。えらいみぞぉがって、昼飯にゃ、刺身まで御馳走してくれなしたとで御座す」て言わるけん、御院主様ん

「鎮道寺ん、御院主様ぁ、何て言わしたのう」て、聞きなしたりゃ

「早うから、よう来てくれたのう。せっかく来てくるっとに、用事ば聞いて来てくるれば、まぁだ良かったとにのう・・・て言うてくれなしたとで御座す」て言わいたそうですたい。

あんまり張り切って、用事ゃ聞かでんはってぇとらいたそうですたい。

*ちいて→従って  *えっとおとろっせぇ→とても恐ろしそうに  *うう声→大声  *はってかいた→去っていかれた  *こんた→あなた  *そうよう達しょう→みんな達者に  *みぞぉがって→可愛がって