ある国の国王は形だけの意志なきものだった。
正確には、国民全員のことを考えすぎるあまり1つの選択ができない優柔不断な国王なのだ。

こんな国王に民も黙ってはいない。決断のできない国王にかわり意志を示すため、その国では争いがやむことはなく、常に勝者が国王になりかわり国を統率しているような状態が続いていた。
当然のように国は荒れ果て、負の連鎖のように悪がはびこるようになってしまう。


しかし、ある時それは一変する。
とある日、街に出た国王は偶然出会った人を気に入り、「この国にもまだこんな素晴らしい人がいたのか」と、自分を支える副官のように扱い少しでも近くに置いた。
後にそれは相手への好意だと気づく訳だが。


自分が好意抱いていることには気づかない国王だが、少しずつ変化が現れていく。
一人の人間としての形がうまれてきたのである。
誰かと会話をする楽しさを知り、誰かがいる安心感を知る。



そして…



街には活気があった。
国王が人として治めるようになり、民の声を聞き民のためを思い統治するようになり、国も明るくなったのである。

しかし、国王も完璧ではない。
だからこそ今でもぐらつく時がある。だが昔と違い国王には意思がある。進むべき道も決まっている。

そしてなにより支えてくれる人がいる。
しかし、民だけは知っている。そんな人など本当は存在していないということを。




あとがき

この国は国王が支えてくれていた人の存在がなかったことに気づくとまた負の連鎖に陥ります。しかし、また出会うのです。
国王はいつになると自分が街に出ていないことに気づくことが出来るのでしょうか?

もし幸せがあるとすれば、街をちゃんと歩き民に出会うしかありません。そうして、支えてくれる人に出会うことが出来れば幸せも訪れるのかもしれません。


この話は何も壮大ではなく身近にあるものだと思う。地図と同じ、縮尺を変えればきっとあなたにも当てはまる。

心は自分を騙すことができます。
行動してみましょう。
少しの変化が時間をかけ大きな変化になっていくのでしょうから。