自分は物理を学んでいる学生なので、自己紹介がてら自分がどんなことを研究しているかの一端を書くことにした。素粒子おいしそう!という方でもどうぞ。


自分の研究は、物理の中で細かく分けるとしたら素粒子理論という分野。とても簡単に言うと、細かい細かい粒子がどんな振る舞いをするかについて、理論的なモデルを作る学問。及びそれに付随する色々。


我々は何からできているの?


まずは月並みな質問から。

人間を分解していくと、組織があって細胞があってなんちゃらなんちゃらがあって、原子がある。人間は10の何十乗個もの原子からできている、と聞いたことがある人は多いと思う。

じゃあ原子を分解するとどうなるか。電子と原子核に分かれる。そして原子核は陽子と中性子に分かれる。聞いたことある人も多いと思う。

これは永遠に続くのか。電子を拡大して拡大していくと、またいくつかの構成要素があり、あり、以下略、なのか。

物理学者は、Noと考えている。終わりがあると思っている。そして、これ以上分解できないものを素粒子と呼んでいる。

これが直感に反している、と感じる人は少なくないと思う。この考え方は、量子力学というものの考え方に基づいている。これに関してはまた詳しく別の記事で書きません。


素粒子理論というのは、この素粒子の振る舞いを明らかにする理論。

なぜ明らかにしたいか。トップダウン式にこの世の全てが分かると期待しているかもしれないし、明らかにする過程で他の何かと繋がって嬉しいという側面もある。人それぞれ。


電子は、素粒子だと思われている。陽子と中性子は素粒子ではなく、さらにクォークと呼ばれるものに分かれる。クォークは6種類あり、素粒子だと思われている。

素粒子だと思われているものはまだあり、例えば光(光子、フォトン)。ニュートリノも聞いたことあるかもしれない。それ以外にもいる。

全部知りたい人は「素粒子標準模型」とかでググって下さい


標準模型!


役者はこいつら。

どう演じるかを決めるのが「理論的なモデルを作る」という部分だけれど、既に良い理論がある。それは「標準模型(Standard Model)」と呼ばれている。最初にどんな粒子がいるか決めれば、その後どうなるかを標準模型で計算できる。はい。


何が不満なの?


じゃあ素粒子理論の研究者は標準模型を眺めていることが仕事なの?

標準模型は不完全である、ということは素粒子理論の研究者共通の認識としてある。理由は主に2つ。細かいものはたぶんもっとたくさんある。


①エネルギー


1つには、エネルギーが低い状況でしか機能しない、という制約があるから。良い理論、と言ったのは、現在人間が再現できるエネルギーの範囲で実験とよく合う、という意味で、それ以上のことを意味しない。エネルギーが低い状況というのはどれくらいまでかというと、現在の加速器のエネルギーまでくらい。想像を絶する高さ。

でも、これでは足りない。例えば、宇宙の初期、ビッグバンの頃には、それとは比較にならないエネルギーが集中していたはず。そこで何が起きていたか知りたいのが人類。


エネルギーが高いということは、細かいということ


そして、高いエネルギーを考えるということは、実はより細かく見るということに相当する。

我々は光がものに当たって、跳ね返った光を捉えることによってものを見ている。実は、その光の分解能というのは光の波長くらいしかない。つまり、光の波長より細かい構造は原理的に見えない(ガバガバな絵参照。ただしこの絵はガバガバすぎて載せるのをためらったほどなので、あくまでもこんな雰囲気という程度)。光はエネルギーが高くなるほど波長が短くなる。つまりざっくり言って、エネルギーが高いほどよく見える。これに関してもまた詳しく別の記事で書きません。


電子たちが素粒子であると思われている、と書いたが、あくまでもそれは加速器のエネルギーくらいで見える細かさの話でしかない。だから、めちゃめちゃエネルギーが高いところでそいつらがどうなってるのか、もしかしたらもっといっぱい素粒子があったりするのか、まだ人類は知らない。


②重力


我々が身近に感じる重力というのは、実は素粒子理論にとって大問題を引き起こしている。

どうでもいいかもしれないが、この世界には4つの力があると言われている。電磁気力、重力、強い力、弱い力。

このうち重力だけ、標準模型の中に入ってない。標準模型は重力をないものとして考えている。

なぜ無視してきたかというと、ひとえに素粒子に働く重力が弱すぎるから。地球上とかでは重力の効果はほぼ無視できるため、標準模型は十分実験と合う。

でも、たとえばブラックホールとか、重力が強いところでは無視できなくなってしまう。その時標準模型は通用しない。そこで粒子がどう振る舞うのか誰も知らない。

重力を素粒子理論の中で扱おうとするのは、実はとても難しい。標準模型に入れたくてもなかなか入ってくれず、今に至る。


まとめ


こんな感じで、素粒子理論は、理論があるにはあるがそれから抜け出そうと四苦八苦している。

アプローチの仕方は色々あり、Beyond Standard Model(日本名がない)であるとか、超弦理論であるとか、新しい理論を作ろうとしている。中でも自分は超弦理論をやっているため、これに関しては流石に別の記事で書くと思う。たぶん。


最後に


今回書いたことは建前です。いや、嘘ではないしできるだけ誠実に書いたつもりではあるけれど、いずれも「素粒子って、何なの?」的な読み物を開けば載っているお話だと思う。実際に自分がどう感じているかなどは、また別の機会に回すということで。自己紹介とは