苗字は生まれた瞬間から決まっていて、本当に不平等だと思う。
私が苗字を意識したのは小学校入った時だった。
それまでは家でも幼稚園でも下の名前で呼ばれていたから、小学校に入って机にひらがなで自分の苗字と名前が書かれていて
あ、これが私が私以外の人から呼ばれる言葉なんだ
と、なんとなく思って、苗字を呼ばれると反応するようになった。
ただ、画数が多くて、発音しづらくて読みづらくて、電話で1回で聞き取ってもらえるのは稀、と母が言っていたのを何回か聞いていた。
だから私も好きじゃなかった。
でも大学生になって親が離婚し、名前を変えるかどうするかという話になった時
正直周りの目も気にして悩んだけど
戸籍とか、相続とか考えたら好きか好きじゃないかで決めて良いものでも無いだろうし、選択肢があるだけ全然ありがたい。
それにもともと苗字が好きじゃないから、変えれるチャンスだとも思ったけれど数十年付き添ってきた好きじゃない苗字はどこか私を構成する一部になっていて
変えたら今までの自分が居なくなってしまう気もした。
画数が多くて、発音しづらくて読みづらくて、電話で1回で聞き取ってもらえるのは稀。
そんな苗字だけどこれまでの過去は全部この苗字があったから試験、保険、身分証の私の1人の人間を表す名称なんだなとこんな夜中にしみじみと思ってしまった。
いつか将来を一緒に過ごす人に会えたら、苗字は変わってしまうかもしれない。それは大切な人と似てる名称になるから嬉しい気持ちが強いと思う。
でもその日が来るまでは、今の苗字に出会ったことは何かの運命で、私の一部であるのを噛み締めたいと思った。