HAPPY END①はこちら…



「イケない契約結婚」有馬志信


―HAPPY END―

~第12話:やっぱり君が最高のパートナー!②~





あの日から3週間が過ぎ―――




「はぁ……」


就職面接の帰り道、大きなため息をつく


「こんなに就活が難しいだなんて……」


思っていたよりも、志信さんの事件で私の記事を目にしてる人が多かった

それに、今日の面接官は、しっかりと記事を見ていたようで、
親の借金、結婚、会社の退職、そして…離婚………

確かに、自分が逆の立場だったら、そんな面倒な人は雇わないかもしれない…けど……


「……まだ、離婚はしてないんだけど…ね」


そう自嘲気味に笑みを漏らした時、前方に見覚えのある姿が見えた



「沢渡くん……」

「よっ! 久しぶり!」

「どうしたの!? びっくりしたぁ……」

「お前が会社辞めてから、時々来てたんだけど…いつもいなかったみたいだから」

「あ……」


志信さんと結婚してから、携帯の番号も変えていたし…
もちろん、家にも戻ってきていなかった


「ごめんね、ちょっと いろいろあって……」

「…みたいだな、詳しいことは知らないけど……」

「うん……」


これまでの数か月のことが思い出される
本当に、いろんなことが起こって……終わっていった


「あ、今日はどうしたの?」

「いや……実はちょっと、デートの誘いに……」

「デート?」

「映画の招待券貰ったから、一緒にどうかなって思って…」


少し照れながら言う沢渡くんに、思わず顔がほころんだ

今の私には、嬉しすぎる優しい彼の誘いの言葉……

以前なら、志信さんに出会う前だったら、喜んでOKしていたと思う
でも、今は………



「ごめ……」

「悪いが、遠慮してもらえるか?」

「え!?」


突然後ろから、聞き覚えのある声が響く……
私はおそるおそる、後ろを振り返った


(……うそ……どうして……!?)


そこにいたのは……志信さんだった



「よう!」

「し、志信さん!?」

「シケたツラ、してんな」



志信さんが、グシャグシャと私の頭を撫でまわす

それだけのことなのに、懐かしくて、嬉しくて……
涙が出そうになる



「誰だ? アンタは?」

「元・旦那だ」

「えっ?」



それだけ言うと、志信さんは私の手を引いて歩き出した


「えっ……おい! 待てよ!」

「……坊ちゃんには、こいつの相手はできないぜ、ほか探してくれ」

「何をっ……」

「もしくは、男らしく拳で奪い合ってもいいが…?」

「うっ……」



志信さんの言葉と、わずかににじみ出た殺気に、沢渡くんが一瞬たじろいだ

その間に、さっさと歩き出す志信さん……



「お前は……何、口説かれてんだよ」

「べ、別に……映画に誘われただけで、口説かれてなんか……」

「八ッ…映画!? ……いまどき高校生でも、もっとマシな誘い方をするだろ」


そう言った、志信さんの顔は笑っていたけど…目は怒っている……
そんなふうに感じた



「悪かったな、せっかくのデートのチャンスを奪って…」

「そんな……」


そんなことよりも今は、志信さんにもう一度会えた、志信さんが会いに来てくれた…
そのことが、何よりも嬉しかった


「……それにしても、本当にシケタ顔、してやがるんだな…」

「それは……ちょっと……」

「何かあったのか?」

「就職の…面接で……落とされちゃって……」

「不況だからな、仕方ねーだろ」


もう二度と会えない、話すことなんかない…と思っていた志信さんと、
ごく普通の会話をしていることに、思わず笑みが漏れた



「俺が就職先、斡旋してやろうか?」

「え?」
「だ、大丈夫です! 志信さんにまた迷惑をかけるわけには……」


「最高の就職先を用意してやったんだけどな……本当にいいのか?」


志信さんは、意味ありげにニヤリと笑いながら、聞いてくる
その顔は、以前の志信さんらしい、意地悪な笑顔……


「永久就職先なんだけどな……」

「え……」


目の前にヒラリと出されたのは、見覚えのある用紙だった


「婚姻届!?」

「結婚しよう、マリア」

「え……」

「今までずっと夜の世界で生きてきた俺には、やっぱりこの仕事が性に合ってる」
「そのことで、お前に迷惑をかけることもあるかもしれないが……」
「でも……もう、お前がいない世界は考えられない」

「志信さん…」


ツ―っと、涙が頬を伝った


「……返事は?」

「嬉しいけど……無理」
「……だって……」



私は急いで、バッグから封筒を取り出す


「ん? これは……」

「まだ、離婚していないの…私たち……」
「だから…結婚は、できないの……」


「は……ははは……そうか……」



志信さんと私は、顔を見合わせながら…
大きな声で笑った


志信さんは、私から離婚届を受け取ると、ビリッと二つに破り、
それをさらに細かく破き、天高く放り投げた


ヒラヒラと紙片が舞う……




「一緒に帰るぞ」

「……はい」

「もう一度、最初からやり直そう……ちゃんと、夫婦として」


強く抱きしめられ、乱暴に口づけられ、鼓動が跳ね上がる

私の背中を撫でる、大きくて温かな手のひらが…とても愛おしかった



「……愛してる、マリア……」


耳元で、志信さんの口から初めて囁かれた、愛の言葉……


「私も……志信さんが、好き……愛してる……」


ようやく交わせた言葉……
それは、永遠に終わることのない、二人の愛の言葉だった



利害の一致からから始まったこの契約結婚は、
本当の愛を知った二人の永遠の契約となり、今始まったばかりである………






~有馬志信 HAPPY END…fin~





イケない契約結婚ー究極の選択ー

(C)Arithmetic





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イケ契 志信さん本編、終了しました~~~~!!!!


いや~~今まで長らくご愛読いただきまして、ありがとうございま~す!!

途中、何度もくじけそうになりながらも…たくさんの方に励まされ、応援されて…
HAPPY ENDを迎えられたことは、本当に嬉しくて感無量であります。゚(T^T)゚。

本当にこの志信さんには……
最初の頃の、あまりにも酷い言葉に泣かされ、あのキスマークに泣かされ……
辛く切ない日々を過ごしたのか……
今、思い出しても、うっ…うっ…。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。


でも、でも…やっと……本当の夫婦になれました~~\(^_^)/
(やっと、続編に進める~~!)


と、いうことで……さっそくですが、
今回のこの二つのEND(ハピエンとノマエン)どうでしたか~~??

実をいうと…私はノマエンの方が好きなんです!

どちらも最後は同じ結果になるのですが…そこまでのいきさつが、全く逆になってますよね?


ノマエンは……
①総司さんが、ヒロインをけしかける
②ヒロインが、志信さんに会いに行く

ハピエンは……
①総司さんたちが全員集合で、志信さんをけしかける
②志信さんが、ヒロインに会いに行く(なぜか、沢渡くん登場!)


と、こんな真逆のストーリー展開だったわけですが…


ノマエンのヒロインの言った言葉
「私は一生志信さんを愛し続けますから…志信さんも私のこと一生愛してください」

これ、すごくよかったと思いません?
もう、一気にこのヒロインに惚れたね!
愛する人のためなら、ここまで強くなれるんだな~と、改めて感動!!

それにそれに……重要なキーポイント!総司さん!!
総司さんも、ヒロインのことを好きになってしまった…
この複雑な想い、ノマエンの方が出てたと思いません?

一人でカフェでつぶやいた…なんて、
総司さ~~ん!!!
思わず、叫んでしまいました……


それに…久々登場の沢渡くん……
わざわざハピエンで、登場しなくても…なんかただの当て馬的存在!?かなって…


それからね、実はハピエンの決め台詞っていうか…・
一番大事な場面のセリフ(太字で書いてあったとこなんですが…)
実は、勝手に変えちゃってます(完レポしようと思ったのですが…)

だって、あまりにもサラっとしすぎていて、しっくりこなかったから……

本家では、

「結婚しよう、マリア」
      ↓
「俺んとこ来ないか?」 (思わず頭に浮かんだ、氣志團みたい…)


「返事は…?」の後、
    ↓
  「はい」 (これだけ!?)


だったから……
ちょっと、いつもの癖で、自分好みに変えちゃいました


というわけで、志信さん本編、終了いたします!

感想も、長々と好き放題書いてしまいましたが…
あくまでも、私個人の身勝手感想ですので、そこのところご了承ください!


それでは、志信Lovers の皆様~~!
長い間、ありがとうございました~~~!!!


m(_ _ )m


マリア